~始まりの物語り~
絵本風に文章は書かせていただきました。
暗い表現が含まれるところが多々あります。
苦手な方はご遠慮下さい。
あるところに絶望から生まれた女の子がいました
女の子は生まれたときから死にたいと思っていました。来る日も来る日も自殺をしました。でも神様は女の子に自分で死ぬことを許しませんでした。
死にたい死にたい毎日思って自殺をしました。でもやっぱり死ねません。待っているのは自殺した時の痛みだけでした。
いつになったら死ねるのだろう。私には心配してくれる親も友達も何もないのに。私はいつになったらこの世界から消えることが出来るのだろう。
女の子は絶望するのにも疲れ果て、なにするでもなくただただ森の中で仰向けになっていました。
このまま土に還ってしまえれば良いのに。そう思いながら目を瞑っていました。
ーーーーーある時の事でした。
女の子がいる森に一人の男の子が来ました。男の子は女の子に気が付くと女の子の近くに寄って女の子に問いかけました。
「どうしてここにいるの?」
「…………」
女の子は何も言わずに目を瞑ったままでした。
「………ここは寒いよ?一緒にこの森を出よう?」
女の子はその言葉に目を開けて差し出された男の子の手を見つめました。
そうして女の子は少し考えた後その手にポケットに入っていたカッターを置きました。
「私を殺してください。自殺をしようとしたのですが私は自殺を許されませんでした。あなたに罪がいかないように手紙を書いていくつもりです。お願いします。私を殺して下さい。」
女の子は男の子を見ることなくうつむきながら言葉にしました。
「…………死にたいのですか?」
男の子は尋ねました。
「殺して下さい……私を……殺して」
女の子の声は最後になるにつれ震えて弱いものになっていました
女の子にとっては最期の希望の光に見えたからです
「………わかりました……あなたを殺しましょう」
男の子は女の子の震える手とカッターを包む見込むように手を握りました。
女の子はその言葉を聞いたとたん嬉しさでつい涙を流しながら男の子の顔を見上げました。
「……ただし条件があります。オレにあなたの事を好きにさせて下さい」
「………………?」
あまりの唐突な言葉に女の子は口をパクパクさせました。
「えっと………それは………」
「……オレは未だに誰かを好きになったことがないんです。そういう気持ちが分からない……。だからオレが君を好きになったら君を殺してあげます。どうですか?」
女の子は迷いました。
どうしよう?私にそんなこと出来る筈が………でも私を殺してくれると言ってくれる人はもう現れないかもしれない。どうすれば………
「…………君は自分で死ぬことが出来ないんですよね?」
「…………はい。」
「オレは約束を必ず守りますよ?」
「…………。」
「どうしますか?」
「………………。はい。……わかりました。」
女の子は自分が死ねるチャンスを逃さない為、苦々しく頷きました。
「良かった。じゃあこのカッターはオレが預かりますね?」
「………本当に私を殺してくれますか?」
女の子は弱々しく男の子と目が合わないように見上げました
「………うん。約束。」
男の子はそのまま握っていた女の子の手を引いて立ち上がらせました。
「………何をすればあなたは私を好きになってくれますか?」
「…………うん。じゃあさ。まずはオレと一緒に住みませんか?」
男の子は笑いながら手をもう一度強く握りました
「そうすれば好きになってくれますか?」
「分かりません。」
「そうすれば私を殺してくれますか?」
「オレが君を好きになれば。」
「…………………。」
「でも可能性があるんじゃないでしょうか?一緒にいないとそもそも好きになるかも分かりませんし」
「………………。わかった。」
女の子の死にたいと思う感情は渦を巻いて殺してくれる可能性を信じてついていく事に決めました。
死にたい死にたい死にたい
誰か私を殺して下さい
誰か私を救ってください
生きていきたくない
毎日が辛いだけの世界
自分はいらない世界
誰からも愛し愛されることのない世界
私はいらない子
消えてしまいたい
女の子の心は自殺願望と絶望だけでした。
目を瞑ると明日が来るんです
明日がきて私が生きていることに愕然とするんです
明日が怖くなりました
それで何度も目を覚ますんです
それでも時間は確実に進んでやっぱり明日が来るんです
「大丈夫」
突然男の子の声が降って来ました。
女の子は突然の声にはっとしましたがまた目が濁り真っ黒な闇に包まれました。
「早く森から出ましょう?ここでは暗くなってしまう一方ですから」
そういいながら男の子は女の子の手を引きました。女の子は手を引かれるまま男の子の後についていきました。これでやっと死ねる。女の子はそれだけを思い目を瞑りました。
よろしければ一緒に女の子成長を見届けて頂けたら幸いです。