第三十二話
久々の投稿で設定がわからなくなってきた人のために
クロイド……素族とも呼ばれる基本的に白い肌の人種。
魔素の影響を受けにくく、人間といえば基本的にこちらの人種を指す。
デロイド……時に魔族とも呼ばれる、基本的には褐色の肌を持つ人種。
魔素の影響を強く受け、クロイドに比べて魔法の才が圧倒的に高い確率が多い。
シーディア大陸→デロイドが支配する国。最果ての森のある国。
クロイドルス大陸→クロイドが支配する国。
食事は大変美味しくいただきました。
対応も良くて、ヴィルの友達だからというわけでもなさそう。
しばらくはこの宿で厄介になることにして、いろいろ勉強できそうな場所を教えてもらった。ヴィルはいろいろ世話を焼きたいようだが、久々の実家で家族を優先するように説得した。といっても、ヴィルの家族もいろいろ飛び回っている人達らしく大半が留守みたいだけど。
まずは街中探索、と行きたいところだったけど。
船旅でずっとロウとスイを我慢させていたから、のんびり散歩をすることにする。マーニーさんにおやつのサンドイッチを作ってもらって、ちょっとした公園で日向ぼっこだ。本当は街の外に出て思いっきり走ったりしたほうがリフレッシュになるんだろうけど。ごめんね?
公園には申し訳程度の樹木しかなく、海の匂いが強い。
腰を下ろしてロウとスイにサンドイッチを食べさせながら手元の紙を広げる。
「今日はのんびりするとしてっと。明日からの予定はどうするかな?」
手元にはヴィルの手書き地図。
諸島で俺の行きたいところリストだ。
「がう?」
もぐもぐと口を動かしながらロウも俺の手元を覗き込む。
「どこか行きたい?」
きっと分かっていないだろうけど。
ロウはじっと地図を見ていたかと思えば、俺の顔を見上げ首をかしげた。つぶらな瞳はまだ幼い証のようだ。
「ないか。じゃ、まずは手近なところからだね。明日は街中のこことここに寄って、明後日は街の外に出ようか?」
「もきゅ」
俺の独りごとの返事か、おれともサンドイッチの催促か。
よくわからぬ鳴き声のスイに苦笑しつつ、どこを優先的に回るか考えていく。
諸島、とひと言でいったところでその範囲は広い。日本よりもずっと。大陸ではないだけで、総面積はそれに匹敵するのではないかというほど。
世界の大きさを考えれば当然ではあった。
この世界は、あの世界と違って未開地が多い。
また、人種の違いでざっくりと国が分かれてしまっているために誤解していたけれど、決して狭い世界ではないのだ。ここは。
今は大きく分けて三つの国に分かれている状況だけれど、過去に遡れば幾百という国に分かれている時期もあったようだ。また、同じ国であっても地域によって細かい法律や習慣はかなり違ってくるらしい。クロイドルスの認識は人間の国、魔族の国、半魔の国で大きく分けられ、それぞれの国でさらに分けられている、らしい。
なんせ、魔族と呼ばれるデロイドが治めるとされるシーディア大陸では若干内容が違っていたのだ。それぞれの国の視点で見た場合に相違点が多少出るのは仕方がない。
フェーレ達デロイドは人数が圧倒的に少ない故に、シーディア大陸という広大な大地の上でシーディア公国というひとつの大国でまとまっている。
また、シーディア大陸の魔物は強い個体が多いために、クロイドと魔物という強敵が存在することでひとつにまとまりやすいという節もある。
それに比べ、クロイドが治めるクロイドルス大陸は魔物という驚異が強くない分未開地が少ないことから、クロイドの人数が圧倒的に多い。
必然的に悲しいことではあるが、人同士の争いは起こってしまう。
結果、クロイドルスはシーディアとは違い、一つの大国とそれらに連なる中小国が多数あるというのが実情だ。
ちなみに諸島は連合国家のようなものである。
二つの大陸に比べ、それぞれの島々の独立性が高い。
「仕事もしないとお金もないしね。幸い、あちこちにフリードはあるみたいだし。ここを拠点に周囲をぐるっと回ろうかな?」
魔獣がいるからか探索者だとかの職業があるからかはわかんないけど、フリードのような職業斡旋所は正直助かる。日本ならハローワークに出向いたところですぐに雇われて仕事があるとは限らないものな。
薬の方はまだ販売できる段階じゃないだろう。
自分で使ったりもして効能を確認していかないとな。俺自身の信用も勝ち取らないと、やっぱり薬とかデリケートなものだし。
それからしばらく日向ぼっこを続けてから宿に戻る。
どうやら船上の生活は知らぬうちにストレスになっていたのか、その日は思いのほかすぐに眠りについた。
翌朝、ヴィルが突撃してきた。
本当に世話好きだなと思わせる、街の案内役の名乗りを上げてきたのだ。
悩みはしたが、話をよく聞けば以前といろいろ変わっているからそれを見るためにも今日は街を歩きたいのだとか。そういうことならとお願いすることにして、ロウ達には留守番を頼む。案の定、機嫌が悪くなった……ごめんってば。明日は街の外の行こうね?
「まずは適当に商店通りだな」
ヴィルの実家にも俺が泊まっている宿にも面している道通りがそのまま商店通りの一角に当たる。
雑貨、服屋、武器屋。様々な店がそれぞれの個性でもって並んでいるのを二人でたまに冷やかしつつ歩いていく。服装などはシーディアとはまた違ったものが多く興味を惹かれ、結局一着新調することにした。この世界に来た頃を思えば贅沢なものだ。
一通り見て回り、宿に戻って昼食のあと、それなりに伸びて生きていた髪の毛をマーニーがタダで切り揃えてくれたのは余談である。
「うん、なんだかすっきりしたね」
「なかなかの男前に仕上がったじゃねぇか」
「はいはい、ありがと」
マーニーが綺麗に整えてくれたのに、数十秒でヴィルに撫でられてぐしゃぐしゃになったのは更に余談であろう。おざなりな対応にもなるというものだ。
折角なのでロウの毛も切るかという話が上がったが、当然ながら嫌がったので勘弁してもらった。
そういえば結構もふもふなので、少し気温が高いこの地域には暑く見えるのかもしれない。
「んじゃ、午後からは案内はいらねぇな?」
「大丈夫だよ。今日はもう、さっき案内してもらったフリードにだけ行くつもりだし」
場所は聞いておいた。
ちなみに、ミルドのように資料室みたいなのもあるかどうかも確認済み。よっぽどの辺境ではない限り、どこのフリードにも資料室みたいなのはあるらしい。
どんな仕事があるのかをざっと確認するのも忘れないようにするけどね。この世界でもお金って大事だし。
……ま、三年ほど森で生活してた過去がある分、お金がなければないで気にならないというのが本音だけど。
「あんまり遅くなるなよ? このあたりは治安がいいほうだが、それでも安全ってわけじゃねーからな?」
子供扱いがひどくなってませんか、ヴィルさん?
あれか、船に乗る前に奴隷商人に捕まりそうになったからか?
「大丈夫だけど……忠告はありがたく受けておく」
「おう」
このあと、ヴィルは家の手伝いだそうだ。頑張ってと一言残していざフリードヘ行かん、ってね。
結局、話があまり進んでない、だと!?




