もう逢えぬあの子に
秋雨の水溜りが映すは忘却の記憶
鈍色の空が覆い包むは何時かも分からぬ追憶の景色
もの言わぬ形骸と成ったかつての拠り所
両手の指では数え切れない思い出
琴の音は永訣を奏でる
どれ程に手を伸ばしても取り戻せない煌ら
白き芹を摘むように叶わぬ悲哀
遠く果ての夜闇に佇むであろう君の影すら見る事は出来ず
心に空いた穴は何物に埋まる事も無く其処に在る
置き去りにした一つの思い出を悠久へ呑み込んでくれることも無く
指差した空には番の鵲が飛ぶ姿
嘗ての二人の姿をその身に重ね
幾何の時が経とうとも色褪せぬ気持ち胸に抱き
ひとつふたつと雫滴らせ想い馳せる
もう逢えぬあの子に
題材キャラクター……『金雀枝一月』。
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