第94話 ハイアームズ公爵家の黒い事情
───レオナルドとルーファスは迎賓館の客室に入る。そして棚に置いてあるシャンパンを開け、グラスに注ぐルーファス。グラスの中で泡立つリンゴ風味のシャンパン、すると泡立てる音を掻き消すように、ルーファスは尋ねる。
「君が、僕をここに呼び出したのは、例の話が目当てなんでしょ?」
「ああ、そうだ。ハイアームズの手先はどうなっている?」
レオナルドは言う。するとルーファスはリンゴ風味のシャンパンを飲み、口を開く。
「彼なら、相変わらず怒っているよ。噂じゃ君をあらぬ容疑を着せて、領主から引き釣り降ろす画策しているとの事だよ」
ルーファスは言った。
「その情報、何処から仕入れてきたのは聞かないが、感謝するよ…………。あらぬ容疑とはアレか?住民税の私物化して、女性達を囲んで豪遊していたとかか?」
レオナルドは言う。ちなみに情報源はハイアームズ公爵に近しい女性に近づき、少し口説いて一緒に寝ていたら色々と喋ってくれたのこと。
ルーファスは冷静な口調で言う。
「そんな可愛いもんじゃないよ…………。今、ノースゲイルの町では孤児院の子供達やスラム地区の住民、あとはその他の貧民がいなくなっているらしいね?その異変を、利用するつもりだよ」
「なるほど、人身売買の容疑を着せるつもりか…………」
レオナルドは予感する。ハイアームズ公爵はよほど、レオナルドが好きらしい。
カーテンを開き、窓を眺めながらルーファスは言う。
「あと…………一緒に寝ていた2人目の令嬢が言っていたんだけど、ハイアームズ公爵自身は真っ黒で、犯罪グループを雇って自分の領地で女性や子供を誘拐して船や馬車を使って、共和国に売り渡しているらしい」
「なるほど、確かハイアームズ家は昔、奴隷商で富と名声を得ていた話だったな…………。その封印された取引ルートを、今のフリオ公爵が活用しているわけか」
「そういう事、君を領主から引き釣り降ろす理由は、君の政策で治安悪化したノースゲイルを、裏事業の隠れワラにして効率良く事業をする為らしいよ」
ルーファスはニコッと、痛いところを突くように主張する。
「お前、いきなり嫌みを言ってきたな…………。しかし、外国系の資本を受け入れによる治安悪化は予測していたが、予測は斜め上だった。お前に与えられた騎士部隊だけの治安維持では限界がある、今日の朝なんて住民税の偽装する犯罪グループまで現れたからな…………」
珍しく、弱気なレオナルド。するとルーファス、レオナルドに視線を向け、提案する。
「ならさ…………領主をそのままにして、ノースゲイルを帝国騎士の管轄下にするのはどうかな?」




