第91話 流れる日々
───それから…………1週間と言う日々があっと言う間に経過していく。日々の内容、レオナルドは領主室の執務机に腰掛け、町で活動している外国人の労働者、経営者、移住者が提出した申請書類を眺め、不審な点が無いか確かめていく。
山積みにされた書類、レオナルドは黙々と嫌な表情をせず、1枚、1枚と目を通し、認可の署名を記入し、判子を押す。
そして、不審な点や記入忘れの書類があれば、(不認可)と判子を押した封筒に入れ、送り返す。
レオナルドは1枚の書類、それは納税完了の申請書類だ。しかし、その者は経営者でありながら納税額が格安で申請されており、明らかに何らかの方法で偽装している。
「良い度胸だ。俺の町で、納税額の偽装をするとはな…………うむ、直々に出向くとしよう」
レオナルドは拳を握り締め、執務机から立ち上がる。
この町にて、未納税をした者は領主レオナルドが直々にカチコミを仕掛け、実力行使で差し押さえをしていく。この帝国で、このノースゲイルで商売をするのは、実質的にレオナルド自身がルールだ。
「レオナルド様、納税偽装を生業としている犯罪グループの情報を特定しました」
タイミングを見計らっていたように、ミランダが領主室に入って来た。
「ご苦労、直ちに向かう。騎士隊も連れていく」
レオナルドは領主室から退室する。ちなみに町で蔓延る納税偽装のグループの調査は、あらかじめミランダに頼んでいた。
しかし…………その冷徹さは、か弱き市民を助ける福祉政策を行う為の財源確保の為に行使しており、ある意味、心優しい独裁者である。
そして………レオナルドが差し押さえ業務から帰って来た後、領主室にてソフィアは報告する。
「あのね、こんな事があったよ」
一方のソフィアは言う…………。
以下の内容はこうだ。
毎日、孤児院とスラム地区、あとは父が働いていた大衆酒場に視察に訪れるのである。
孤児院の方は、経済的に裕福かつ人が良い里親夫婦が1週間に3人ほど訪問しており、 さすがに不気味である。との話だ。
大衆酒場では、身なりの良いスーツを着用した共和国系の外国人による訪問販売、宗教の勧誘、そして仕事の斡旋等の話が、店主から聞いている。しかし、………どの内容も怪しい話ばかりで大半の人は皆、断っている。
一方、スラム地区の訪問において、共和国系のスーツを着用したグループが、スラム地区全体を眺め、(この地区を解体し、住宅地にしようかな)との話が、ロロナおばさんから耳を挟んだ。
───あと、スラム地区は領主に利権があり、レオナルドの許可が必要だ。




