第85話 巣立ちをした子供達
───その頃、時間帯は朝。町の教会の孤児院にて子供達はシスターマリアから授業を受けていた。
授業は算数。修道服に身を包んだシスター・マリアはカツカツと音を立てたチョークで、大きな黒板に数式を描き、そして席に並ぶ子供達に問うのである。
「はい、この数式がわかる人?」
───ハァ~~イっ!!
席に並ぶ子供達は、元気よく一斉に手を挙げる。年齢層は6歳から12歳の少年少女、人数は30名。ちなみに出している問題は、10歳の子供レベルの数式で、いわゆるサービス問題だ。
あらあら、元気な子達ね?と、シスター・マリアは人差し指を突き立て、手を上げる子供達を選ぶのである。
「ど~~~れ~~~に~~~し~~~よ~~~かな?」
───はいっ
手を上げる30名の子供達の中に、見覚えある声に、シスター・マリアはビックリする。
「はい、はい、はぁ~~~いっ」
周りの子供達は、ぎょっとした眼差しを浮かべ、若干引いた様子で沈黙している。見覚えのある声の正体はソフィアだった。
「あら、ソフィアちゃん?」
シスター・マリアは言う。すると、ソフィアは黒板に近づき、コツコツとチョークで答えを書くのである。
「はい、正解です」と、シスター・マリアはニッコリ。
────おぉ~~~すご~~~い。
パチパチと拍手する子供達。
「ヘヘヘヘ、お久しぶりです。マリアさん」
ソフィアは恥ずかしい表情で頭を撫でる。
───わぁ~~い、ソフィアお姉ちゃんだぁ~~~。
ソフィアの登場に、喜ぶ子供達。
「何しに来たんだよ?ソフィア?」
「仕事、クビになったのか?」
わんぱくな少年の2人は尋ねる。ちなみに子供達にはレオナルドとの婚約は秘密であり、シスター・マリアを含む者達には領主様の助手アルバイト従業員として誤魔化している。
「ヘヘヘヘ…………領主様の命令で、とりあえず視察に来ました」
ソフィアは言う。
「あら、視察に?」
「はい、ノースゲイルに外国の人達が増えたので、何か困った事や変化が無いかと、レオナルド様が聞いてこいって…………」
ソフィアは言った。ちなみにウソではなく本当の話で、レオナルドには朝食をしている時に言われた。
「困った事や変化が無いでしょうか…………あ、そういえば変わった事と言えばこの間、孤児が5人、里親に養子に出されました」
「あ、確かに…………」
気づくソフィア。周りを見たら、孤児が減っている事に気づく。
「はい、里親の方は身なりや性格も良くて、子供達は里親には直ぐに懐いてここを巣立ちしました」
シスター・マリアは言った。
「それは、何よりですね…………」




