第84話 皇太子のプレゼント
───しかし、このようなトラブルはレオナルドにとっては予想通りだ。とは言うものの、斜め下位で、もう少し物騒な事になると思っていた。外国系の資本が進出すれば、偽った事業者を名乗り、こういったグループも出てくる。
裏通りの入り口前にて、レオナルドは走り去る護送馬車を眺める。すると………。
「レオナルド様、犯罪者の取締りを完了しました」
騎士の隊長はレオナルドに敬礼。
「了解した。引き続き、町の治安維持として公安に当たって欲しい」
「イエス・サー」
騎士の隊長は部下と共に立ち去る。
ならず者達を拘束し、走り去って小さくなる護送馬車を後ろから眺めてレオナルドは腕を組み、思い浮かべる。
「さすが、持つべき者は友だな………」
思い浮かべるのはルーファス皇太子。ノースゲイルに帝国騎士部隊を駐留させて貰ったのは、彼の計らいによる物である。レオナルドが、町の治安維持目的として、兵士達を駐留させて欲しいと要請したら、格式の高い騎士隊を送り込んでくれた。
レオナルドは手紙を広げ、読み上げる。そして返しの手紙には、さらにこう綴られていた。
───我が愛する親友よ、プレゼントは気に入って貰えたかい?………皇族の権限で情報収集と拘束、場合によれば殲滅《|せんめつ》をこなせる強硬派の騎士隊を送ってあげたよ。ついでに、騎士における命令指揮権と人事権も君に与えたから好きに使ってよ。
我が愛しの親友、ルーファスより。
「まったく、アイツは………」
レオナルドは内容に鬱陶しいと思いつつ頭をポリポリと掻き、ルーファスに感謝しつつも手紙を閉じる。性悪だが頼りになる親友だ。
★★★★★★
そしてメインストリートにて、走らせる馬車の中、レオナルドは革のバックから複数枚の書類を取り出す。
「共和国系の会社組織が3件に、王国系の会社組織が1件か………」
真剣な瞳で書類を眺める。書類に記された内容は外国系の資本が支払う課税、法人税の説明だ。外国系の資本が帝国に進出する機会が少なかったのは、各地域が統括している領主貴族が認めなかったからだ。理由は帝国の伝統と文化、景観を守る為だ。レオナルドが統括しているノースゲイルの町が、帝国の地域で初、認めた地域である。同時に課税は進出しやすくあえて安くしてある。
───しかし帝国の新聞にて、レオナルドが外国系資本の受け入れた事により、保守派の帝国貴族の怒りは増している。何故なら帝国の伝統、文化、景観を破壊する異端児として、もし外国系の移民達による犯罪が頻繁すれば責任は取れるのか。と、記事にされている。




