第82話 セシリー・ハイアームズ
───時を同じくして………場所は帝国中西部にある町ナナージャ、そこは貴族や富裕層が大半を占め、帝国の伝統と文化、宗教を大事にする町だ。職人技によるクリーム色に塗装された外壁にレンガ造りの外壁、赤々と青々と、そして小麦色の瓦屋根による高級感ある町並み広がる。各メインストリートには、身だしなみがしっかりした服装をした人々が行き交い、生活レベルが高い。
町の中心部にある豪邸、そこはハイアームズ公爵が所有している屋敷である…………。最上階の部屋にてフリオ・ハイアームズ公爵はイスに腰掛け、新聞を広げて呟いていた。
「レオナルド・サンタクルス、あのアーネストの倅《|せがれ》か…………」
フリオ・ハイアームズ。歳は50歳、銀髪ロングが特徴的な髪型に丸みを帯びたヒゲ、年齢を重ねた事により出来た目元のシワ。身長180センチ、衣装は紫を基調とした貴族風のスーツに毛皮のガウン、下は黒いズボンに高級革のブーツ。
広げていた帝国新聞には、こう記されていた。
───帝国北部の町ノースゲイル、若領主レオナルド・サンタクルスによる外国系資本の受け入れ政策により、外国人系の人口増加の一途か。
「外国の資本を受け入れた事により、就職率が上がったらしいな…………しかし、治安が悪くなったのが悩みの種か」
と、フリオはライターで葉巻に火をつけ、記事に向かって煙を吐き出す。吐き出された葉巻の煙は空中にモクモクと登り、消失する。
新聞に載っているレオナルドの顔をながめ、そしてある事を思い出す。
「そういえば、ノースゲイルに住んでいる知り合いが、アーネストの倅《|せがれ》に不当に税金を差し押さえられたって言っていたな…………」
知り合いには、奴《|レオナルド》を何とかしてくれと頼まれた。他の貴族の人達は、レオナルドは帝国貴族の中ではうつけ者、帝国の伝統を破壊する者、福祉政策好きと言う名の共産主義者と呼ばれている。
すると、コンコンとノックする音。
「誰だ?」
「失礼しますわ、お父様」
入って来たのは、白いワンピースを着た銀髪ロングヘアーの女性。
「何だお前かセシリー…………エマと言う偽名で、ノースゲイルに潜入していたらしいじゃないか?」
「はい、定期連絡として帰ってきましたのよ。それと、良い方法がありました」
本名セシリー・ハイアームズ。ノースゲイルの社交パーティーではエマ・クロフォードと偽名で名乗っていた。
「良い方法とは何だ?」
フリオは尋ねる。
「とある情報筋から、こんな情報を頂きましたのよ」
セシリーは封筒に入っている書類を取り出す。




