第75話 ソフィアが連れて来られる1時間前
アーネストは聞く耳を持たない。
「アナタに何を言われようが、俺はソフィアとは別れるつもりさない。今時、貴族や平民なんてと言う時代は終わったのです」
レオナルドは言った。時代は極端な身分関係による婚約ではなく、多様性を主張している。
「確かに平民と結婚する貴族は少なからず存在する。しかし、俺は認める訳にはいかない………もし、彼女を自身の婚約者として認めて欲しければ、これで分からせて見せるといい」
アーネストは、甲冑に掛けられているロングソードを手に取り、鞘から抜く。
「あくまでも実力で示せですか?嫌いではありません、いいでしょう。自分とてルーファス皇太子や騎士隊の人達とは何度も実戦訓練をしています。丁度、発揮したいところでした」
レオナルドも、甲冑に掛けられたロングソードを手に取り、構える。
そして、2人は修練場の中央に歩み寄り、威圧感を漂わせて対峙する。
(何か、すごい事になっているわね…………)
その光景を見守るソフィア。
前世にて、よくドラマや映画で婚約者の女性の父親に、娘の結婚は認めないと、居間のテーブルを叩かれて凄まれるアレだろうか?…………しかし、何か逆のような気がするけど?…………。男性側の父親に、結婚は認めないと言うのは珍しい。
ちなみに、私《|ソフィア》がこの邸宅に連れて来られたのは1時間前、町のスラム地区で、執事のアスランにこう言われた。
───私の名前は執事アスラン・ウィーズリーと申します。ノースゲイルの領主、レオナルド・サンタクルスの父、アーネスト・サンタクルス様のご命令で、アナタを迎えに伺いました、ソフィア・マクミラン様。
いきなり私の本名を言われ、後退って思わず警戒してしまう。
───いきなり、アナタを騙すような真似をして申し訳ありません。警戒するのも無理はありません…………あの手紙はもちろん、アナタ方の両親の名前を勝手に使わせて頂きました。
アスランはお辞儀し、謝罪する。
アナタの目的は、何ですか?と、私《|ソフィア》は尋ねる。
───それは、アーネスト様が息子のレオナルド様とアナタの婚約を反対しているのです。
アスランは言った。
その情報、いったい何処で聞きつけたのだろうか?と、私《|ソフィア》は再び警戒してしまう。何故ならこの情報、レオナルドと私、あとミランダや給仕係のボブしか知らない。
───アーネスト様は、アナタとレオナルド様が3人で話し合いたいと、迎えに伺いましたのです。
それなら、レオナルドも一緒に。と、ソフィアは言うが…………。
───いえ、アナタが先に迎えに行くように、アーネスト様の命令です。




