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第71話 父上の邸宅に到着するレオナルド



 

───父上の手紙を受け取った後、レオナルドはノースゲイルを出て愛馬に乗って走っていた。方角は東、渇いた地面が伸びる森林道を、土煙を巻き上げてひたすら走る。


(ソフィア………頼むから無事でいてくれよ)


 額から汗を流し、レオナルドは彼女《|ソフィア》の無事を祈る。距離は町から出て1時間、郊外にある邸宅に父は愛人と共に隠居している。


 レオナルドは怒りの表情を覗かせる、自身で決めた婚約相手を連れ去ったのだから………。そしてレオナルドはアイツ、父親の事はよく知っている。父のアーネストは根からの伝統保守派の侯爵貴族であり、平民は貴族の従者であると考えだ。父が領主だった頃、財政の大半は社交パーティーや町の景観、伝統保守の為に使い、平民の事は考えていない為に貧民層が生まれ、スラム地区が生まれた要因もある。


(その、父の悪政の尻拭いをしているのが俺だ。本当に、よく当時の平民はクーデターを起こさなかったモノだ………)

 

 と、皮肉に微笑むレオナルド。ある意味、父を尊敬に値する………。クーデターが起こらなかったその理由は知っているが、あまり考えない方が身のためだ。

 

 ちなみに辺境の子爵家出身の母親とは政略結婚で結ばれ、そこに愛なんて存在しない。妻や子息がいても、父は社交パーティーで愛人を作って娯楽に励んでいる姿は影から何度も見ており、母の死後もそれは変わらない。


「そんな奴に、俺の結婚相手を決められてたまるか…………」


 領主として、遊んでばかりで大した仕事もしていない奴のクセに、息子の結婚相手を決められる筋合いはない。

 


 ★★★★★★


───しばらく森林道を走っていた先、レオナルドは丘の上から眺める。視線の先には1軒の邸宅が建ち、周囲には柵によって包囲されており、鬱蒼な緑が生い茂る木々が伸びている。階層は3階建てにより建造され、正面門から邸宅の出入口まで、一直線に道が伸びており、グリフィンやドラゴン、ガーゴイルといった様々なモンスターの銅像が並んでいる。


「こんな場所で邸宅を建てて、愛人とのんびりと隠居生活とは、良い身分だな…………」


 愛馬から降り、丘の上から邸宅を眺めるレオナルド。


───すると…………正面門から入っていく上級の馬車。そして少し進み、邸宅の出入口前から降りて来たのは老執事と、ソフィアの姿を確認した。


「ソフィアっ!!」


 と、思わず彼女《|ソフィア》の名前を呼び叫んでしまうレオナルド。そして愛馬に乗り、(待っていろよ)と言わんばかりに丘を下って走り抜け、レオナルドは父の邸宅に向かうのである。

 

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