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第70話 思い出を焼却する少年のレオ




「手紙だと?」


 ミランダに渡された手紙を、レオナルドは受け取ってペーパーナイフで封を切り、読み上げるのである。


 ───レオナルドよ、久しぶりだな。俺が領主を退任し、お前に引き継いだ5年振り以来になる………お前の活躍は風の噂でよく聞いている。色々と言われているが、領地運営は上手くいっていると聞いて父は安心している。そんなお前にも婚約者が出来たようだな?その話を聞いて父親として嬉しい限りだ………しかし、貴族ではなく平民の娘らしいじゃないか?領主貴族たるもの、結婚相手は貴族ではなくてはならない。とりあえずお前の婚約者は預かった、返して欲しければ郊外にある邸宅に来るといい。そこで待っている


          アーネスト・サンタクルス。


 差出人は、彼の父親であるアーネスト・サンタクルス。手紙の内容に、レオナルドは沸騰したかのようにグッと表情を険しくさせる。


「レオナルド様?」


「こんな時に………今まで放置してきて、婚約者の事には口出ししてくるとはな」


 ミランダの問いかけに、レオナルドは怒りを震わせる。そして思い出す、幼少から青年期までの過去を………。



 亡き母親の影響により、花を見る事を趣味としていた少年期のレオ、しかし父はそれを許せない。


 場所は息子の私室。壁にはチューリップ花畑の絵画が飾られ、本棚には民主主義、福祉政策、外国の文化や伝統、歴史や宗教の書物等が並べられている。父のアーネストは幼少のレオをバチっと響き渡る程の力で張り倒されて。


 ───帝国貴族の男が、花なんぞ女々しい趣味にうつつを抜かしおって………。


 張り倒されたレオ、張り倒されて赤くなった頬を押さえ、思わず父をキッと突き刺すように睨みつける。何故なら母親の事を貶されたように聞こえたからだ。


 ───何だ、父親に向かってその目は?


 威圧的に、父親のアーネストは少年期のレオナルドを睨みつける。

 

 父親のデカい威圧感に………レオナルドは下を向いて怖じ気付くのである。親子であろうと貴族はゴリゴリの縦社会、逆らえない。


 父親は後ろ向き、息子に言う。


 ───明日までにグレースの思い出を全てて捨てておけ、良いな?


 そう言って父親のアーネストは、低い声を響かせてレオの部屋から立ち去るのである。


 レオナルドはうつ向き、沈黙する。父親は侯爵貴族であり、その命令は絶対。そして………。


(……………)


 レオナルドは涙を流しながら沈黙し、パキパキと燃え盛る部屋の暖炉にて、母親の思い出を全て焼却する。焼却される母親の思い出、アルバムや花の図鑑、花言葉が記された書物も全ててだ。


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― 新着の感想 ―
 オヤジが無駄にスパルタン過ぎる……。  息子をこんな育て方して、マトモに死ねるとでも思ったのだろうか。(まぁ、毒親全般に言えることだけど)  因縁の愛憎劇。ふたたびドナドナされたヒロインさんもあわせ…
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