第66話 領主失格を言われる鬼畜領主
サンドイッチを全て食べ終え、昼御飯を済ませた2人は休憩スペースのイスに腰掛け、花畑を眺めていた。温暖な気候に囀る小鳥、和やかな雰囲気の中、レオナルドは尋ねる。
「お前は、花は好きか?」
「うん、少しだけ………」
レオナルドの問いに、ソフィアは答える。横顔を向け、次に質問する。
「お前は俺の事をどう思う?」
「どう思うって?」
「ただ………父上や貴族としての躾に耐え兼ね、優しい母親に逃げているマザコン貴族だと、お前は思わないか?」
後ろ向きに言うレオナルド。何故なら自身は、母親が抱いていた市民寄りの思想を強く尊重している為、マザコンなのではないかと…………。
「いやマザコンって…………そんな事ないよ、アナタの話を聞いたら凄い母親だって、市民思いで優しい人で、アナタが尊敬するのが分かるって言うか…………」
頬をポリポリと掻くソフィア。
「そうか………」
さらにソフィアは言う。
「それに、アナタやお母様のやっていることは、間違ってないと思う…………民の事を考えて、困っている人を助けるのは、領主として当然だし、その証拠に市民達から頼られているから、自身の事を蔑ろにするのは、アナタのお母様に失礼だと思うよ」
ソフィアの言葉に、レオナルドは呆気に取られる。自身が母親の思想を受け継ぎ、市民の為にやっている事が今まではマザコンであると気にしていた。しかし、それは違うとソフィアに否定され、逆に母上に失礼だと…………。
そして、レオナルドはふと思い浮かべる。それは孤児院にて、炊き出しをしている自分とその仲間達、あとその周りに集まって美味しく食事をしている市民達の光景を…………。
「ハハハハハ…………」
突然、腹を抱えて笑い出すレオナルド。気持ちは、何処か吹っ切れたような感覚だ。
「どうしたのレオナルド?」
いきなり笑い出すレオナルドに、困惑。
「そうだな、自分でそう言ってしまうと、ノースゲイルの領主として失格だな…………」
さらに言う。
「だからね、自分のやっている事に誇りを持つこと、でないとアナタの亡くなったお母様が悲しむと思うわよ?アナタは町をどうしたいの?」
ソフィアは言う。ソフィアの問いに、レオナルドはクスクスと笑い、頭を抱える…………。
「そうだな…………誇りを持つことか。未納税によって差し押さえられたお前に、そう言われるとはな…………」
「差し押さえられた身は余計だって…………」
2人は休憩スペースにて、和やかな会話を弾ませる。
───場所は2人から見えない位置のチューリップ畑にて、白銀のロングヘアーの女性は眺める。そして少しした後、離れる。




