第63話 ある娘達との再会
───それが、彼《|レオナルド》の母親との思い出だった………。しゃがみ込み、アネモネとネモフィラを見て彼は撫でて思い浮かべる。
(あれからもう、20年過ぎか………)
花言葉とは、生きている人と同じ個性があるように、その一つ一つの花にも意味や特徴、個性がある。のだと、母上は言っていた。幼少の頃は理解できなかったが、今になれば母の言う事が分かる………。
そしてレオナルドは、ソフィアを見る。一方の彼女《|そして》は敷居の柵からチューリップ畑を眺め、髪をなびかせている。
(生きていたら、母上とは仲良くなっていただろうな………)
レオナルドはクスっと微笑み、彼女の元に向かう。ソフィアは天真爛漫で前向き、他の貴族の娘とは違い、努力家で誰とでも仲良くなれる性格の持ち主だ。それが、彼女の魅力なのかも知れない。彼女との出会いは、自身が領主に就任して町の孤児院で炊き出しをしていた時だったが、肝心の彼女は覚えていないのが玉に瑕だ。
★★★★★★
3人は花畑を歩いていた。チューリップとアネモネ、ネモフィラといった春の花による花景色に、レオナルドは小さい頃に訪れた懐かしさと安心、一方のソフィアは春の暖かさにより、活発な気持ちが湧き上がるのである。
───途中、休憩スペースのテラスに差し掛かる。すると、そこに意外な人物達が待ち構えていた。
「あら?アナタは………」
茶髪のロングヘアー、白のシャツに赤色のスカートの娘は、座っているベンチから視線を向ける。
「げっ………」
待ち構えていた人物達に、ソフィアは思わず下品な声を出し、立ち止まる。
「いや、げっ………て、アナタね?」
ソフィアの言葉に、黒髪のロングヘアー、白のシャツに青いスカートの娘はムスっとなる。
「何でアナタがこのような場所にいる訳ですの?」
次に栗色のロングヘアー、同じく白シャツに黄色のスカートの娘は腕を組み、尋ねる。
「アンタ達、パーティーで会った信号機のっ」
「って、何ですの、信号機って?勝手に私達に変なあだ名を付けないで頂けますの?」
ビシッと指を差し、変な発言するソフィアに思わず青のスカートの娘は憤る。
スカートの色もそれぞれ信号機の色なんだ………。と、娘達が着用しているスカートの色に視線がいってしまう。
「いや、だって………その………」
3人の信号機娘の突然の再会に、思わずソフィアは面倒臭い気持ちになる。彼女達は先日の社交パーティー以来となる………信号機と呼んでいるのは彼女達がパーティーで着ていたドレスの色がそれぞれ赤色、黄色、青色だったからだ。




