第59話 麦畑の田園風景
「そうだな…………かれこれ全ての花には花言葉があるが、桜の花言葉は精神の美、純潔、優美な女性だ…………お前にはまだ程遠い花言葉だな」
「む、どういう意味?」
レオナルドの言葉に、ムスっとなるソフィア。
「お前には、桜ではなくもっと似合いの花言葉がある、それは…………」
ソフィアの花言葉を、考えるレオナルド。
「悩むほど、思い付かないのかしら?」
すると、レオナルドは答える。
「…………幾つか候補があるが、まだ取っておこう。候補がひとつに決まり次第、教えてやる」
「何か勿体ぶって…………教えなさいよ?」
ソフィアの言葉に、レオナルドは「断る」と、一言告げる。
レオナルドの言葉に、ソフィアはムッと頬を膨らませる。そして座席に背もたれし、落ち着いてため息を吐いて口を開く。
「何か………あんたとこんなにしゃべったのは初めてね?」
「何がだ?」
「私の家族の借金と未納税で、初めてアンタの所に連れて来られて、その全てのカタ代わりとして婚約と言い渡されて………」
ソフィアは言う。
「家族の手紙を呼んで、思い切り怒り叫んでいたな?」
「うん、家族にこんな形で売られたからね、悲しみと言うより、あの時は怒りでしかなかった」
「お前は、今の暮らしをしてどう思う?」
レオナルドの質問に、ソフィアは答える。
「………悪くないかな。アンタは税収を取り締まる以外は優しいし、スラム地区で炊き出しをしたり、他の平民や子供達には人気があるし………そう言う所、私は好きって言うか………」
ソフィアは恥ずかしそうに頬をポリポリと掻き、話し出す。
「そうか………好きか」
レオナルドは腕を組み、不敵な笑みで答える。
───それから………会話が止まって変な沈黙が続く。
(何か私、レオナルドに変な事を言ってしまったのかな?)
座席に座り、頬を赤くしながら俯くソフィア。この会話で、レオナルドの表情は気にはなるが、マトモに見れない。
「ソフィア様?」
「うわっ!!………何、ミランダ?」
ミランダに話しかけ、ビックリするソフィア。
「窓の外をご覧ください」
ミランダの言葉に、ソフィアは窓の外を眺める。
「うわぁ~〜〜………」
窓の外を眺めるソフィアは驚く。馬車の窓から映るのは、麦畑による広大な田園風景である。上空から吹き付ける風より、麦畑一面に波風が広がる。
「レオナルド様も、如何ですか?」
「うむ、せっかくだから見ようか」
ミランダの言葉に、レオナルドはソフィアの隣に移動し、窓に映る麦畑を眺めるのである。
(ち………近い、近いって………)
顔を赤くするソフィア、彼との位置は頬が付く位。




