第58話 馬車の中にて
───2日後、時刻は朝。
カタカタと揺られる馬車の中、ソフィアとレオナルド、あとメイドのミランダ。
「…………ねぇ、レオナルド?」
「何だ?」
「レオナルドは、デートは初めて?私は初めてなんだよねぇ~~…………」
ソフィアは、少し緊張した様子で言う。ちなみに私の衣装は上は女性用の長袖タイプの両肩を開いた青いシャツ、下は白スカートにブーツ。
「…………俺も初めてだ。社交パーティーで何度か女性に言い寄られた事はあるが、付き合いはない」
レオナルドは言った。黒曜の刺繍が施されたタキシードタイプの貴族衣装。さらに通気性を意識した材質を使用し、春の暑さに丁度良い仕様となっている。
「ソフィア様、お似合いです」
向かい合いに座っているミランダは言った。
「それ、今言うの?」
ミランダの言葉に、ビックリするソフィア。
「はい、わたくしはソフィア様、レオナルド様のメイドであります。主人に尽くすのが我が使命なのです」
ミランダは言った。
(あの夜、確かにミランダだったよね?)
ソフィアは思い浮かべる。2日前の深夜のこと、あれは彼女だったのか…………それとも私の単なる勘違い?………。そしてこの2日間、彼女は何故かいなかったが、レオナルドと花園デートする時に、彼女はいる。
「ソフィア?」
隣にいるレオナルドが話しかける。
「え、何?」
「考えことかい?」
「いや、花園ってどんな所かなって………」
ソフィアは頭をポリポリと掻いて誤魔化す。
「今の季節だと、チューリップ畑が見頃だな…………あと、ネモフィラや…………それとピンク色の花が咲く木があったな、確かサクラと言う名称だ」
レオナルドの発言に、ソフィアはビックリする。
「え、桜?…………桜があるの?」
「何だお前、桜を知っているのか?」
「うん、ピンク色でひらひら咲いた花でしょ?春にしか咲かない花で、出会いと別れの季節というか…………」
ソフィアは語る。桜の知恵は、前世によるものだ。知恵といっても浅知恵だけど…………。
ソフィアの言葉に、レオナルドは意外な様子で少しだけ口ごもる。
「ハハハハハっ…………」
「えっ?今の笑うとこ?私、何かおかしい事を言った?」
ソフィアは言う。するとレオナルドは答える。
「お前は面白い事を言うな?桜が、出会いと別れの季節なんて、まるで違う世界から来たようなセリフだな?」
違う世界から来たのようなセリフ?…………レオナルドの言葉に、ソフィアは少し違和感を覚えながらも尋ねる。
「もしかして、桜って何か違う意味があるの?」
ソフィアの質問に、レオナルドは言う…………。
」




