第56話 婚約破棄?
「お前との婚約は破棄する」
レオナルドは言った。
場所は朝の領主室、呼び出されたソフィアにはそれは突然だった。
「………えっ?どうして?」
いきなりの事で、ビックリするソフィア。その時だった。
───ソフィアっ
───ソフィア
───お姉ちゃんっ
領主室に入って来たのは、父と母、妹がソフィアの前に駆け付ける。
「どうして?………3人共、私を置いて新天地に移り住んだんじゃ無かったの?」
ソフィアは尋ねる。自身が牢屋の中で一夜を過ごしていた日、知らない内にレオナルドと勝手に婚約の契約して、私を売り飛ばしたあのバ家族だ。
すると父のパブロは頭をポリポリと掻いて、うっかりした様子で答える。
「それが………新天地の町で仕事していたら、業績不振でクビになってな。そんで戻ってきたんだ」
「と言うわけで、また3人で家族やり直しましょう」
母のオリエは陽気に提案する。
「やり直そう、お姉ちゃん?」
妹のルイゼは、ソフィアの手を取る。
突然の状況に、理解が追いつかないソフィア。
「と言うわけだ、俺はお前との婚約を破棄し、彼女と婚約する事にした」
「彼女だって?」
ソフィアは分からないと首を傾げる。すると、レオナルドが(入って来るといい)と、言って領主室に入って来たのは、銀髪ロングヘアーをなびかせ、白銀のドレスを着用した女性だった。確か彼女とはこの前の社交パーティーで、信号機の娘に絡まていた所を助けてくれた時に、出会った。
「久しぶりね?ソフィア?」
ソフィアとすれ違い際に、女性は言った。そしてレオナルドの隣に立つ。
「彼女はエマ・クロフォード、俺の新たな婚約者だ。彼女はお前とは違い、由緒正しい貴族だ………とりあえず、お前は家族とやり直せ。今までありがとう」
今までの事に感謝しつつ、レオナルドは冷静に言った。
「さて、行こうソフィア?」
隣から、ソフィアの肩をポンっと叩いて告げる父のパブロ。
それはあまりにも突然の事、借金と未納税を肩代わりして、それで勝手に婚約者にして、勝手に破棄して………ソフィアは受け入れられない。
「待って、レオナルドっ」
領主室に、入って来た3人の役人に取り押さえられるソフィア。
「こいつをつまみ出せ」
レオナルドは冷静に命令した。
「行きましょうソフィア?」
「いこ、お姉ちゃん?」
母のオリエ、妹のルイゼは再び言った。
「レオナルド、レオナルドっ!!」
必死に抵抗するソフィア。
───3人の役人に、そして家族に取り押さえられて部屋を追い出される。部屋を出され、閉ざされた可能性の如く、ドンッと低い音を響かせて扉は閉まるのである。




