第55話 ダンス終了、しかし気絶するソフィア
───ルーファスが選んだ演奏曲、Beast.of.Waltz《|獅子のワルツ》に、ソフィアは何とか付いていく。その音色は暴れ狂う獅子のように激しく、そして力強い足捌きが要求されるクラシック音楽だ。演奏隊による力強いバイオリンの音色、それを織り成す繊細なクラリネットの音色が、暴れ狂う獅子のダンスみたいであり、当時の作曲家がBeast.of.Waltz《|獅子のワルツ》と名付けられた。
ルーファス皇太子に、ソフィアは振り回される形でリードされる。ルーファス皇太子の足捌き、2人きりにより広く使われるダンスホールに、彼女は転倒しないように付いて行く。
(おや、なかなかやるね?)
ルーファスは微笑む。しかし、それは何処か意地の悪い性格を滲ませている。
ホール全体の床に、ソフィアの額からポタポタと飛び散る汗。そしてダンスにより、全体に響き渡るタップの足音。2人きりのダンス、相手は皇太子、ハードな足捌きによる極度の緊張に、ソフィアは何も考えていない状態である。
───観覧スペースにて、2人のダンスを眺める銀髪ロングヘアー女性がいた。シャンパンが注がれたグラスを持ち、微笑みながら口に含む。
(ふふ…………また君に、会えることを楽しみにしているよ。今の名前はエマ・クロフォードだったね?)
ダンスしている中、ルーファスは観覧スペースのとある場所を眺め、微笑む。しかし…………彼が微笑みをかける先に、彼女《|エマ》はパッと立ち去り、この社交パーティーから姿を消していた。
そして…………beast.of.waltz《|獅子のワルツ》の演奏は終了した。
───ふん、初心者にしてはやるものね?
赤いドレスのリタ、あと青と黄色ドレスの女の子はパチパチと拍手し、最後まで踊りきったソフィアを評価してあげる。
───よくやった、上出来だったよ
観覧スペースにいる招待客達から、雨のような拍手が喝采される。これにより、ソフィアは皇太子とダンスの相手をした領主夫人として、誇らしい名誉が与えられた。
「皆様、僕のワガママに付き合ってくださり、ありがとうございます」
ルーファスはソフィアを放し、観覧スペースにいる人達に深々とお辞儀する。
「ハァ…………ハァ…………ハァ…………」
ダンスを終え、フラフラになるソフィア、そして…………。
「ソフィアっ!!」
そのとき、ダンスホールにて駆けつけたのはレオナルド。そして彼は倒れる寸前のソフィアを、気を失った彼女を抱き支える。
原因は極度の緊張と体力消費により、気を失うソフィア。この光景に招待客の人達はどよめく。




