第4話 とりあえず寝るソフィア
───連れてこられた場所はノースゲイルの中央区。そこは行政、公安、立法、様々な機関の建物が並び、多くの役職者が通勤している区間である。中央区には高級感漂う建造物、オシャレなカフェとスイーツ店、高級衣服や宝石店、アクセサリー店が数多く並んでいる。
そして、この町をあらゆる意味で統括しているのが領主様であり、中央区だけではなく、ノースゲイルの町の象徴だ。
───高級なホテルや飲食店の片隅。地下に続いている階段、その一角に構える事務所がある。雰囲気で例えたらドブネズミが徘徊してそうな地下道。それはマクミラン一家が借金している闇金融である。
「…………こ、これは?アンタ、マジか?」
事務所の応接室にて、マクミラン一家に借金を取り立てていた輩、怪しい男性はテーブルにドンっと置かれた札束に、額から冷や汗を流し、気持ちが震えがある。
「これで、手を打って貰いたい」
取り引き相手は言った。テーブルには1万BD札束。おそらく1千万くらいはあるだろう。
どんな内容は分からないが、取り引きが成立したのは言うまでもない。
★★★★★★
「まさか、ここで1ヶ月を過ごすのかしら?」
ソフィアはベッドに座り込み、眺める…………。場所は領主館にある地下拘置所にある牢屋。鉄格子により閉じ込められ、ジメジメとした湿気を漂わせる。
天井にはクモの巣、窓には両手の平サイズの蛾が羽を広げている。
「ま、慣れているけど…………けど、ベッドを1人で独り占めるのが、救いね」
とりあえずベッドに寝転び、身体を伸ばすソフィア。ベッドの寝心地は固いが、家より全然マシだ。何故ならうちは貧乏で、4人で1台の固くて臭いベッドを交代制で使っていた。
ちなみに服も2着しかなく、半袖の白いシャツと青いスカートで、衣替えは関係ない。冬の季節に、半袖はめちゃめちゃ寒くて、破れる度にママに縫ってもらっていたので、洗濯する時は、破れないように神経を使っていた…………。
(ま、とりあえずは寝ようかな…………)
独り占め状態でベッドに寝転び、ソフィアは瞳を閉じる…………。寝る子は育つ、それはパパとママの言い付けであり、ソフィアと妹のルイゼはこの言い付けを守り、前世とは違い、この世界に生まれてきてからは病気をしたことがない。
───ソフィアは直ぐ寝静まり、寝息を立てる。自慢ではないが、すぐに睡眠を取れるのが長所だ。よくこれでベッドを横取りをしたものだ。寝てしまえば、こっちのものだからね…………。