第39話 鬼畜領主の寝顔
───その夜、レオナルドは領主室にて執務机に腰掛け、ネクタイを緩ませてリラックスしていた。今日はスラム地区で福祉政策の一環として炊き出しをしたり、普段の執務より疲れた。ずっしりと身体が鉛のように硬く、動きたくない感覚に陥る。ちなみに炊き出しに使用した食材の量が、訪れた人達と子供達の数と合わせてギリギリだった為、予算ギリギリだった。
机の上には申請、更新、認可、様々な手続き書類が積み重なっていた。
「疲れ果てていても関係ないな………領主たるもの、期日が近い書類から片付けよう」
疲れ果てた身体にムチを打ち、レオナルドは羽根ペンを持ち、積み重なった書類を1枚、1枚に目を通し、署名していく。正しくサイン出来る書類、内容に不備、不正申請が疑がれる記載、空き箇所がある書類あれば振り分けて積み重ねていく。
自身が統括している町、ロクに書類の内容を見極められなければ、領主なんて務まらない。
カチャ………カチャ………と天井を揺らし、室内を照らすシャンデリア。ただ黙々と時間だけが過ぎていく。
「この書類、空き箇所と必要事項が抜けているな………まったく、更新手続きを何だと思っているんだ」
不備の書類に、イラつきながら振り分け、さらに封筒に不認可の判を押していく。
───時刻は9時、夕飯を済まして6時から作業を始め、3時間が経過している。
トントンと、ドアをノックする音。
「レオナルドさま?」
領主室にソフィアがドアを開いて入室する。彼女が領主室に入室した理由は………特に無いが、偶然この部屋に通り掛かったので、こんな時間まで彼は何をしているのか気になったからだ。
しかし………彼女の目に映るのは、意外な光景だった。
───すぅ~〜〜〜、すぅ~〜〜、すぅ~〜〜。
そこには、全ての書類を片付け、少し休憩がてらの如く、机に突っ伏してているレオナルド領主様の姿だった。
「寝ている?…………のかな?」
何気無しに、寝ているレオナルドに近づいてみるソフィア。顔を近づけ、確認したら彼はすぅ~すぅ~と寝息を立て、普通に寝ている。おそらく休憩しようとうたた寝したら、そのまま寝てしまった訳だ。
じぃ~〜〜と彼の寝姿を見るソフィア。そして思った、借金と未納税をカタにして私をドナドナにした鬼畜な領主でも、こんな無防備でもうたた寝するんだなと………。
そんな事を知らず、うたた寝するレオナルド。
(………何考えているんだろ、わたし?)
彼の寝姿に、開いた隙だらけの彼の額にドキドキする私、そして………気持ちが整わないまま、部屋を後にする。




