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第38話 家は貧乏、心は太陽




───ソフィアが提案したオニギリはスラム地区の炊き出しにおいては好評だった。特に食べ盛りの子供達、理由はステーキ料理に米といった組み合わせが、満腹感があってボリュームがあるからだ。


 炊き出しの料理を食べている人達を、レオナルドは満足した様子で眺める。


「やれやれ、これで炊き出しの財政はスッカラカンだな………」


 レオナルドは微笑む。嬉しい悲鳴という意味で、だ。


「皆、良い顔しています。これもレオナルドさんのおかげです」


 マリアは言う。何故なら炊き出しを実施する為の福祉政策における財政は、ノースゲイルの税金から使っている。主に富裕層や違法的に課税逃れをした者から取り立てた税金からだ。


「いえ、マリアさんと理解ある市民の協力があってこそです。町の財源では、賄えなかったでしょう」


 レオナルドは謙虚した様子で言った。


 マリアは見る、炊き出しの料理を食べながら輪になって子供達と楽しく会話をしている彼女の姿を………。


「レオナルドさんは、ソフィアちゃんとどんな関係で?」


 マリアは尋ねる。


「ソフィアとは………う〜ん、そうだな」


 腕を組み、彼は何て答えようか考える。何故なら彼女には、自身の婚約者として伝えるのはまだ早い。と、口止めされているからだ。


「もしかして、恋人とか?」


 マリアの発言に、バレたか。と、ドキッとするレオナルド。


「彼女は………その、住む所が無いところ、自身が部屋を紹介して、下宿させている立場になります」


 レオナルドは咄嗟に誤魔化した。彼女との関係については、そのうち話すとしよう。


 マリアはソフィアを眺め、穏やかな口を開く。


「ソフィアちゃんは、とても良く出来た子ですよ。家が貧しくても人当たりが良くて前向きで、孤児院の子供達とすぐに仲良くなれるから、周りを照らす太陽みたいな存在です」


「太陽か………」


 マリアの言葉に、レオナルドはソフィアと照らし合わせる。確かに、子供達とスラム地区にいる大人達が、まるで彼女の笑顔に照らされるように笑っている。


「そうかも、知れませんね………アイツ、いやソフィア君は確かに明るくて前向きで、自身も時々、彼女と話をする時は何故か、気持ちが軽くなったような感覚になると言いますか………」


 レオナルドは言う。自身の職業柄では、身分や格差、経済的な損得による駆け引き、色々と神経を使う為、考え込んでしまう性格だ。彼女と関わってみれば、そんな気持ちになるのはその為だろう。昔、領主1年目の際、炊き出しの時にソフィアの事は知っているが、彼女自身は覚えているかどうか………。


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