第2話 差し押さえられるソフィア
役人の言葉に、パブロは妻と娘達の前で恥を承知で土下座する。
「差し押さえは………それだけは勘弁して下さいっ」
そして懇願する。
「ダメだ。ノースゲイルの町では、未納税者にどんな手を使っても税金を払わせるのが領主様の命令だ………。これから、差し押さえ業務を実行させてもらう」
役人はキリッとした様子で作業手袋を着用し、マクミラン一家の家屋に歩み掛ける。
「お願いします、数カ月は待って下さいっ」
役人にしがみつくパブロ。だが、力無く振り払われ、役人は家屋に突入する。
そして、役人は金目がありそうな物を物色していくのである。ノースゲイルの町は税金の取締には厳しく、少しでも申告逃れがある収支があれば、どんな相手でも問答無用だ。
(ああ〜〜〜………我が家の思い出が………)
シクシクと涙を流すパブロ。役人は家屋の中にあるタンスやキッチン、あらゆる場所に行政のメスを入れ、金目の物を散策していく。
しかし、十数分後………。
「おい、これはどういう事だ?」
家屋から出てきた役人。
「何がですか?」と、パブロ。
「お前の家の中に、金目の物が全く無いではないか?」
役人は言った。
「恥ずかしいながら、私達は貧乏で、それに借金もありますので、あまり金目の物はないのです………」
パブロは頭をポリポリと掻いて答えた。もちろん、嘘ではない。
役人は腕を組んで頷き、考える。
「どうすれば………領主様は、どんな手を使っても税金を納めろと命令なのだが………」
悩む役人。差し押さえ業務をしても、金目の物が無いからどうしようもない。ちなみにこのスラム地区にある家屋は町営であり、差し押さえられない。
「なので、今日の所は………」
パブロは言う、すると役人はとある案を思い浮かべる。
「いや、差し押さえる物はある………」
役人はマクミラン一家の人達を眺め、長女のソフィアに視線を向ける。そしてパブロとオリエ、妹のルイゼは役人の視線に釣られてソフィアに向けるのである。
「え、私?」
視線を向けてきた役人と家族に、びっくりして自身に指を差すソフィア。
「まずは、未納税の肩代わりとして娘を差し押さえさせてもらう」
ソフィアの手を掴む役人。
「何ですって?」
ソフィアは思わず叫ぶ。
「そんな………ソフィアっ」
食い下がるパブロに、役人は言う。
「無事に娘を返して欲しければ、領主館まで足を運んで未納税を払う事だ。お前達がしっかり払うまで、娘は我々が預かっておく」
「パパ、ママ、ルイゼっ」
役人はソフィアを、スラム地区前で駐停している馬車に連れて行くのである。