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第28話 亡き母の理念




「それと聞いたけど君が領主をしているノースゲイルの定例会議では町の経済は中々なバランスだったなんて?」


 婚約者の話から別の話を切り替え、突然尋ねるルーファス。


「それがどうした?」


「増税、課税、そして君独自で行っている富裕層へのいじめにより、福祉政策が成功して市民達が飢えなくなって平民からは人気がある。それは凄いじゃないか?」


 ルーファスは言う。何処か含みのある言葉で。


「お前から褒められるのは寒気するが、ノースゲイルの領主として市民を飢えないのは当然の事だ。まだ、格差を無くさせるのはほど遠いがな………」


 レオナルドは言う。(弱き者に手を差し伸べる………)領地運営の理念は亡き母であるロザリーの教えがある………皆が当たり前のように食事が摂れて笑顔で溢れる町にする、最終目的は町からスラム地区を無くすのみだ。


「富裕層や一部の貴族からは嫌な噂がある。君のやっている事は帝国の歴史と伝統、文化の破壊とか、共産主義だと………」


 ルーファスの言葉に、レオナルドは思わずぶっと吹き出す。


「ばかばかしい話だ、俺がそんな愚かな思想に染まる訳がない。今時の貴族は、民を飢えなくさせる事が伝統破壊だと捉えるのかい?」


 レオナルドは呆れた様子で言う。


「貴族と言うのは基本、民の事はあまり考えない思想だ………領地運営をしている貴族の町には、貧富の格差は当たり前のようにあった。君のような領地運営はある種、変態的だと」

  

 ルーファスの言葉に、レオナルドは納得するように微笑む。


「変態的か………彼らの言っている事はある意味、正解かも知れないな」


 コイツ(ルーファス)にはまだ言えないが、婚約者のソフィアは15歳の女の子である。実際、ノースゲイルでは主に富裕層の人間からは、革新的で浮世絵離れ、うつけ者など、色々と言われているが気にしない。


 するとルーファスは、先ほどまでの陽気な笑みから、真剣な表情で口角を下げる。


「………親友として、言わせてもらう。最近、国内で富裕層や貴族の人間から君の事をよく思わない声がチラホラ聞こえる。気をつけた方がいい」


 ルーファスの言葉に、レオナルドは気にしない様子で言う。


「よく、思わない声か………別に言わせておけば良い。俺は俺のやり方でノースゲイルの民を導いて行くのみだ」


「好きだよ………君のそう言うところ。もし、歯向かう愚か者がいたら全力で叩きのめしそうだね?」


 ルーファスは微笑む。

 

「お前、わざと言っているだろ?」


 会場には貴族や富裕層の招待客の男女、この中に貴族派の手の者が紛れていてもおかしくない。それを知った上でこの言動、やはり性格は悪い。



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