第24話 ハンカチを無くすソフィア
裁縫の作法を終え、プレゼントである御手製ハンカチを作ったソフィアはレオナルドの所に廊下を早歩きで歩を進めていた。手にはピンクのチューリップ刺繍を施したハンカチ、自分にとっては血と汗、涙の結晶である。
───領主婦人として、婚約者としてあの子の支えになってあげて。
ヒラリーお婆さんの言葉を思い出す。同時に、変な緊張感により鼓動をバクバクさせる。ただハンカチを渡すだけなのに…………。
(落ち着きなさい、わたし…………)
ふと、言い聞かせるソフィア。変な緊張感の正体は、お手製のハンカチをプレゼントしたら彼はどんな反応するかだ。もし苦労して作ったのに、要らないと言われたらと思うと…………。
など、考えているうちに領主室に到着するソフィア。
「レオナルド様、失礼します」
ソフィアはドアを開けようと、ドアノブに手を掛ける。するとソフィアの横にミランダがいた、そして言う。
「あ、いい忘れていましたが、レオナルド様は公務の為、これから帝都に向かいます。今ならまだ馬車乗り場にいるかと…………」
「ええっ!!それを早く言ってよっ!!」
ソフィアは入り口まで思わず走って彼を追いかける。足の早さなら自信はあるが、しかし…………。
「遅かったわね…………」
ソフィアは急いで入り口の門まで掛け走るが、とき既に遅し。レオナルドは馬車に乗って走り去って行った。どうやら彼とは行き違いとなり、戻って来た時に渡せば良いかと、ハンカチが入ったポケットに手を入れるが…………。
「アレ、無いっ!!」
ソフィアは辺りをキョロキョロさせ、ハンカチを探す。どうやら、ここまで走っている途中でどこかで落としたらしい。
「どうかしましたか?ソフィア様?」
その時、ミランダが神出鬼没にように、ソフィアの隣に駆け付けていた。
「ミランダ、ハンカチが…………ハンカチが無いのっ!!」
ソフィアは軽くパニックになり、訴える。
「では、探しましょう」
ミランダは言った。
そして、領主室から領主館の出入り口までの範囲をソフィアと一緒に探し回るが、お手製のハンカチは見つからない…………。次に窓、カーペット、天井のシャンデリア、あらゆる物影を探していたが、それでも見つからない。
───その後、ソフィアは部屋にて体育座りで落ち込んでいた。
「申し訳ありません、ソフィア様…………」
ミランダは謝る。領主婦人であるソフィアのハンカチを見つけられないのは、自身の不手際だから。
落ち込んでいるソフィアの前、ミランダは彼女から背を向け、ソフィアのお手製ハンカチを取り出し、眺める。




