第23話 ハンカチにチューリップの刺繍
───それから………ソフィアはレオナルドにプレゼントする為、ヒラリーお婆さんに作り方を教えてもらいながら切断した布生地から縫い合わせ、ハンカチを作り上げていくのである………。
初め、納税の鬼でしかないアイツの為に、ハンカチをプレゼントなんて………。と、思っていた。だが、ヒラリーお婆さんの言うには優しい性格で、私の方が偏見に思っていたのかも知れない………。
「良し、出来たわ」
ソフィアは手作りのハンカチを持ち上げる。
「あら、上手じゃない?………ソフィア様、レオナルド様はピンクが好きよ、せっかくだから刺繍を入れてみてはどうかしら?」
「え、刺繍?」と、ソフィア。するとミランダは言う。
「ソフィア様、レオナルド様はピンク色で好きな者は、チューリップです。それを刺繍を加えてみては?」
「きっと、喜ぶかと思うわよ」
ヒラリーは微笑み、言った。
こうして、ハンカチ作りの続きが再開、それはピンクのチューリップの刺繍を縫い合わせていく作業だ。ピンク色のガラスビーズと、チューリップの形に切り取ったピンクの布生地で、先ほど作り上げたハンカチに刺繍を加えていく。
細かい裁縫作業………慣れているものの、ある意味それは社交ダンスの練習より、体力と神経を使う。
「よし、今度こそ出来たっ」
ソフィアは喜ぶ。ピンクのチューリップの刺繍を加えたハンカチを持ち上げる。途中、裁縫針が指に刺さって血が出たりして大変だったけど何とか出来た。
「世界に1つしかないハンカチね?」
ヒラリーは喜び、言った。
「はい、ソフィア様の愛が籠もったハンカチです。レオナルド様、きっと喜びます」
ミランダも上機嫌に言ってくる。
(何か、アイツがもう、喜ぶのが前提みたいな流れだけど………)
あまりにも、2人がアイツが喜ぶ事は間違いないと推してくるので、困る私。何故ならアイツは笑う所は見た事はあるが、喜ぶ所は見た事がない。
「ソフィア様」
ヒラリーはソフィアに呼びかける。
「はい?」
「あの子はとても不器用で、何処か無理している所があるのよ。ロザリーさんの死を乗り越えて、上手くいかない父親と過ごして、来て色々と大変な目に遭ったのよ。だから………アナタには、領主夫人としてあの子を心の支えになって欲しいの」
ヒラリーから優しくお願いされる。
「私に、それが出来たら良いんですけど………」
自分にそれが出来るかどうか………と、少し自信無い様子で、頭をポリポリと掻くソフィアである。




