第22話 レオナルドの過去
「ヒラリー先生、アイツ………いや、レオナルド様の事を知っているんですか?」
ちょっと良い直してから、ソフィアは尋ねる。
「ええ………週に2回、あの子の母親のグレースさんにも私は裁縫を教えていたからね。当時10歳のあの子は、35歳だった彼女と一緒に来て、私が裁縫を教えている所を、いつも楽しい様子で見ていましたよ」
ヒラリーお婆さんは言った。
へぇ?あのレオナルドが裁縫を見て楽しい様子?………あまり想像出来ないけど。
「お母さんっ子なんですね?」と、私は言う。
するとヒラリーは言う。
「あの子の父親は貴族気質が強い性格で、一方の正妻のグレースは、貴族ではあるけれど領民を大切し、弱い者には優しい性格だったから、その影響であの子はグレースの側に付いて行って、どちらかと言えばあの子は母親似かも知れないね………弱い者には優しい所が………」
何処がですか?………と、何度も疑いたくなるソフィア。今、目の前にさっきまで弱者だった私がいて、未納税による差し押さえと言う名目でドナドナされて、家族の借金と未納税のカタを条件に、婚約させられたのだから。
「でも、変わったかと言えばグレースさんが亡くなってからになるわね………」
「えっ?」
ヒラリーの沈んだ声に、ソフィアは思わず視線を向けるのである。何故なら親の死の話になると、コチラも沈んだ気持ちになる。
ヒラリーは説明する。
「レオナルド様と外出していた帰りの馬車で、馬車同士の衝突事故に巻き込まれてね………馬車に下敷きにされ、あの子を庇うようにグレースさんは亡くなって、それからあの子は辛い人生を送っていたらしい………」
凄まじい話に、ソフィアは言葉が見つからない………。少し間を置き、ヒラリーは再び説明する。
「元々、父親とは上手くいってなくて………。グレースさんから影響を受けた楽しみは全て父親に否定されて、これまで作ったグレースのハンカチや巾着袋は捨てられ、ここに来る事も禁止にされ、亡くなった母親を乗り越えて欲しかったのか、父親による剣の稽古が虐待まがいだったと聞いた事があるわ」
「酷すぎます………」
ソフィアは辛い表情を浮かべ、言う。彼の父親は毒親て、うちの両親とは正反対だ。
「でもね………。久しぶりに見たあの子は、昔みたあの優しい子のままよ。母親の死を乗り越え、今ではしっかりと領主をして、弱い者は守ると言う母親の思いを引き継いで、領民からは信頼されているわ」
「そうですかぁ〜〜〜?」
アイツが、弱い者には優しいイメージは私には分からない。




