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第21話 裁縫の作法




───そしてダンスレッスンの次は、裁縫の作法。


 場所は領主館の2階にある作業部屋、屋内に並ぶ木製の作業棚には、糸巻き用のボビン、ケースに入った裁縫針、毛糸編み用のスティック。あと、何枚も折り重なった布が保管されている。


 作業部屋には、年季の入った裁縫用の机。


 講師となるのは、裁縫作法を担当している講師で、白髪の団子頭とエプロンを着た60代のお婆さん講師だ。


「初めましてソフィア様、私は講師のヒラリー・イーグレットと言います。次は裁縫の作法となります、裁縫による作法は貴族女性達の嗜み、これからの作法を磨いていけば貴族の女性達と楽しい話に華を咲かせられる事は間違いないでしょう」


「ソフィア様、頑張ってください」


 ミランダは言って応援する。


「裁縫なら、わたし自信あるわ」


 私は裁縫用の針に糸を通し、まずは小手調べとして巾着袋を作り上げていく。よくボンビーな家で動き回り、服が何度も破れたから縫って修繕していた。同時に、何回も裁縫針に指を刺していた。


 そして黙々と………優しいお婆さん講師に手法を教わりながら作り上げていく。


「あら、上手じゃない?」


「アハハハハハ、ありがとうございます」


 健気に頭を下げるソフィア。社交ダンスの講師は少し恐くて、指摘される度にぴくぴくと緊張してまったけど、裁縫の講師は優しいし、気持ちが楽だ。


「次は、ハンカチにしましょうか?」


 お婆さん講師は提案。


「はい、よろしくお願いします」と、ソフィアは受け入れる。


 まずは、材料である布生地を用意し、それをハサミで何枚も切断して下準備を整える。


「ソフィア様、もしよろしかったら作り上げたハンカチを、レオナルド様に差し上げてみては?」


 ミランダは言ってくる。


「えぇ?………喜ぶかなアイツ?」


 首を横に傾げるソフィア。何故ならハンカチを貰って喜ぶような顔じゃないし………人をモノ扱いで差し押さえ、税金を取り立てる鬼畜領主だし。


「あら、良いじゃない?ソフィア様が作ったハンカチなら、きっと喜ぶかと思うわ。だけどソフィア様、旦那様にアイツ呼ばわりは良くないわよ。私はあの子のお母さんにも裁縫を教えていた事もあってね………。それでレオナルド様の事は小さい頃から知っているけど、彼はとても優しい子よ」


(え、アレが優しい子?………全然、想像出来ないですけど?)


 ヒラリーお婆さんの言葉に、ギョッと驚愕するソフィア。そして今のレオナルドの顔と所業を照らし合わせても、アイツ《レオナルド》に優しい要素なんてこれっぽっちも感じられない。



 

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