第1話 マクミラン一家
怪しい男性が帰った後。家の外ではマクミラン一家は頭を抱えていた。労働者の旦那と、大衆食堂の店員オリエ、そして長女で15歳の娘のソフィア、次女で2つ年下の妹のルイゼの4人家族だ。家庭は裕福ではないけど、とある事情で借金はあるものの、たくましく生きていた。
「どうして開けたのよ?アナタ」
齢は40代、青髪。妻のオリエは呆れた様子で尋ねる。
「いや、やっぱり今月の利息だけは返さないとなって………」
妻とは同年代、黒髪。夫のパブロは頭を情けない様子でポリポリと掻いて答えた。性格はお人好しで正直者、頼まれたら断れないちょっぴり頼りないパパである。居留守はダメだと言う罪悪感により、思わず出てきてしまったのだ。
「パパ、正直なのは良いけど、あのお金を渡したら今年の税金、払えないのよ?それ、分かっているの?」
「あ、忘れていた………」
オリエの言葉に、パブロはハッと思い出す。
「パパ、どうするの?税金、払えなかったら家の中のモノを差し押さえされて私達、住む場所無くなるのよ?」
「う〜〜〜ん、どうしよっかな………」
オリエの言葉に、危機感無しのパブロ。
「もう、アナタっ」
不甲斐ない主人と痴話喧嘩するオリエ。それを眺める2人の娘達、この光景は2人にとっては慣れである。
(まだ始まったわ、痴話喧嘩………)
ため息を吐き、呆れ返るソフィア。パパとママによるお決まりの痴話喧嘩を見て、少し醒めた性格の女の子である。仲は悪くはないけど、普段は頼りないパパを力強く支えるママは私の誇りである。
「おね〜ちゃん、税金って何?」
妹のルイゼは健気に尋ねる。
ルイゼの質問に、ソフィアは答える。
「妹よ、税金ってはね………」
ソフィアが答えようとすると………。
本日2人目。スラム地区にてまたしても客人がやってきた。黒塗りのスーツ、艶のある後ろ髪にサングラスを掛けた男性だ。
「パパ、ママ。お客だよ」と、ルイゼは指す。
「パブロ・マクミランとその一家、今年納める税金、確認が取れていない。どういう事だ?」
サングラスの男性は尋ねる。正体は、このノースゲイルの町役人である。
役人の質問に、パブロは頭をポリポリと掻いて言うのである。
「えっと………その、税金はですね。持ち合わせが今無くて………借金をしていて、今月の利息を払ってしまったので………」
パブロの言葉に、役人はピリッと雰囲気が変わり、低い声になる。
「つまり、払えないと言うのだな?………。なら、未納税者は差し押さえをあるのみ、だ」
役人は言った。