第18話 後悔するソフィア
「うそ?。こっ………これがわたし?」
思わず声を震わせて驚愕してしまうソフィア。衣装鏡の前、そこに映っているのはドレス姿の私だった………。それはピンクをモチーフとしており、整えられた薄化粧に開いた胸元、そしてきめ細かい装飾品を施された仕様となり、自分だけど自分ではない感覚に陥っている。
「とってもお似合いですよ、ソフィア様」
ミランダはにっこりと言った。性格は少しイタズラっぽいが、衣装チェンジは彼女にとっては朝飯前である。
「でも………何か恥ずかしい。化粧とか特にこの開いた胸元とか………」
ソフィアは頬を赤くし、施された化粧と開いた胸元を見て、恥ずかしい様子。何故ならスラム地区育ちのボンビー娘にとっては未知で相まみえない世界だ。
「ソフィア様、いちいち衣装を恥ずかしがっていては社交パーティーで他の貴族や富裕層の面々達に笑いのタネにされてしまいます。領主夫人とあれば自信を持って堂々とするのが大切です」
ミランダは言った。
「堂々と………ねぇ」
ソフィアの言葉に、あまり実感ないソフィア。
「それにソフィア様、間違っても他の貴族達に、かつては平民でしたなんて、絶対に言わないでくださいね」
「え、何で?」
「貴族社会は恐ろしい所です、特にレオナルド様は他の貴族の娘達に人気があり、婚約の申し入れは何度もあります。どんな手を使っても妾になろうとする為、露骨な嫌がらせや権力を使った圧力や策略、下手すれば暗殺者を雇って後ろから闇討ちされたり………」
「え?怖すぎない?なら、護衛を雇えば………」
「それもアリですが、大きな貴族の方ならその護衛をも先手で買収して………安心だと思って騙されていると知らず知らずにに泳がせて……情報を盗まれて、身に覚えのない犯罪により容疑を掛けられ、処刑と言うオチもあります」
ミランダの言葉を聞いて、ソフィアはさぁ~と青くなる。華やかなイメージの貴族社会、その裏では目的の為なら手段を選ばず、ど汚い手をも使った陰謀劇が繰り広げられる世界だった。
知らず知らずに足を踏み入れた事を、後悔するのである………。
するとミランダは言う。
「まず、相手に自分の出生などを悟られないようにする………そして、身の回りに気をつける。少しの変化をも、気をつけるべきですよ」
「………ねぇ、ミランダ?」
ソフィアは言う。
「はい?」
「アナタは、他の貴族達に買収されたりしないよね?」
少し間を開いて、ミランダはニコっと答える。
「………もちろん、しません。何故なら私は、ソフィア様とレオナルド様のメイドですから」




