第17話 領主夫人としての始まりの朝
後日、領主夫人の朝は早い。
───すかぁ~~~~………すかぁ〜〜〜…………。
ヘソをボリボリと掻き………領主夫人とは思えない容姿で寝ていた。逞しく破天荒、良く言えばそれは健気でもある。寝入って初めは被っていた布団を、寝相の悪さで床下に払い退けられ、ソフィアはぐーすか寝息を吐いていた。
部屋に入るのはミランダ。
「ソフィア様、おはようございます。朝ですよ」
ミランダは言って、ベランダ窓のカーテンをサッと開いて。その次は窓を開け、外から差し掛かる朝日を入れ、同時に空気を入れ返る。
「ううっ………あと、5分だけ………5分だけ………」
差し掛かる朝日と空気に、ソフィアは布団を被って身体を丸くさせ、本能的に起床する事を抵抗してしまい、ダメにさせる。何故ならこのベッド、ふかふかで心地良く、生まれて初めての感覚だから。
「ソフィア様、ソフィア様っ………今日から領主夫人として教育が始まります。起きてください」
「う〜ん………」
それでも起きないソフィア。
「仕方ありませんね………」
ミランダはニヤリと、企みある笑みを緩ませる………。そして彼女はベッドに転がり、ソフィアの側に回って添い寝し、後ろから抱きつく。
「………何しているの?」
ソフィアは思わず尋ねる。
「ソフィア様が起きないので、私も一緒に寝ようかと………」
ミランダは答えた。
「分かった、分かったから………起きるから」
ミランダのアクションに目が覚め、思わずソフィアは上体を起こし、起床する。
「アラ?起きない事を期待していたのに………そうなれば、ソフィア様と一緒にあんな事やこんな事を、グヘヘヘへへへ………」
変な笑みを浮かべ、企みあるうめき声を吐き出すミランダ。
(うん、これからちゃんと起きよう………)
ミランダの言動にソフィアは困惑し、これからは規則正しく起きようと決心するのである………何故なら、自身の身が危ないと本能的に反応する。
「ではソフィア様、お着替えをしましょう」
ミランダは人差し指を出し、にっこりと言った。
そして………彼女は部屋のクローゼットから衣装を取り出し、ソフィアに見せる。用意された衣装はピンクをモチーフとし、金の装飾品を施された貴族用ドレスである。
自分で着替えようとするソフィア。
「ダメですよソフィア様、それはメイドである私にお任せくださいっ」
「ちょっとミランダっ!!」
駆け寄るミランダはソフィアの側に回り、テキパキと慣れた技術でドレスを身に付けていく。ドレスの着用は自分でやる事ではなく、主に領主と夫人の身辺世話係であるメイドの役目だ。




