第16話 領主夫人として
───元の衣装である白いシャツと青いスカートのを捨てられた事にはショックを受ける私。長い人生の中であの衣装は相棒のような存在で、何度も破れてもママが縫って直して貰った為、思い出深い。
衣装鏡の前に立ち、ソフィアは少し困惑。
「う〜〜〜ん………」
とりあえず白のネグリジェに着替え、何処か落ち着かない気持ちで全身を眺める。背中、胸元、腕や腰などを、何処か気になってしまう。
「いかがでしょうかソフィア様?」
ソフィアの隣に立ち、ミランダは尋ねる。
「私的には………元の衣装が良かったんだけど、私はあの衣装以外、服なんて着た事ないから、いきなりこんなネグリジェなんて………落ち着かないなぁ………」
と、私は言う。ネグリジェを着て気になってしまうのは、そもそも衣装を楽しむ概念が無いから。
ミランダは言う。
「ソフィア様………これからアナタはノースゲイル領の領主、レオナルド様の婚約者となるんです………つまり領主夫人で、社交パーティー等に出席しなければなりません」
「だからと言って、元の衣装を捨てる事は無いんじゃないかな………」と、私は言う。
ソフィアの言葉に、ミランダは厳しい姿勢で発言する。
「なりません………公爵貴族や上流階級の人間、まして皇族の人達と関わる立場である為、庶民的な衣装を見られてしまえば、領主様としての品格を咎められてしまいます」
「品格を咎められてしまうって………またまた、ただの服で、そんな事で?」
「ソフィア様?」
ソフィアによる軽率な発言に、ミランダはニコニコとした圧をかける。
「あ………あはははははは………」
ミランダによる威圧感のある笑みに、ソフィアは苦笑いを浮かべてしまう。この笑みは、とても恐い笑みだと理解した。
「それとですね………ソフィア様のネグリジェ、とても似合ってます。将来はレオナルド様と寝室を共にし、ゆくゆくは子供も授かる事も視野に入れておく為、キャミソールなどもいかがでしょうか?」
ぶっ…………と、思わず吹き出し、顔を赤くする。
「こっ…………子供を授かるって、何を言っているのっ!!」
恥ずかしい様子で、声を震わせてしまう私。
「何を言っているって………子供を授かるのは、このノースゲイルの将来の事を考えて言ったまでですよ?子を宿し、子孫達に未来を託していくのが領主と夫人の義務です」
ソフィアは赤くなったほっぺを両手で押さえ、思わずレオナルドを意識してしまう。
「ちなみに………レオナルド様はピンクが好み、ピンクのキャミソールを用意しましょうか?」
「いらないからっ!!」




