第15話 浴室で憂うつになるソフィア
「はぁ~〜〜〜………」
食事を終え、部屋に戻ったソフィアはぐいっと背筋を伸ばし、バスタブにて入浴していた。ちょうどいい温度で熱せられた湯船が、全身の血中を駆け巡り、氷の如く冷え切った疲れを溶かしていく。
バスタブにたった1人で入浴し、湯気を登らせた浴室の天井を眺め、私は思い浮かべる。
(パパとママ、ルイゼは今頃どうしているのかしら?………)
ふと、家族の顔を思い出す私。金に目が眩んで裏切られたとは言え、心配はする。ほんの数パーセントだけど………。
ちなみに………スラム地区にいた頃、水浴びする時は寸胴でお湯を沸かし、バケツに水を汲んで温度を調整して、それを全身に被って身体を洗っていた。外で行っていた為、周囲に人がいない事を確認する事も忘れてはならない。
───パパとママは、新天地にてレオナルドさんに紹介された仕事に就く事になった。色々と大変だけど、元気でな。
───おねぇちゃん、げんきでねぇ〜〜〜。
「うぬぬぬぬぬぬぬ………やっぱり、ムカつくっ!!」
パパとママ、妹ルイゼによる理不尽な手紙の内容を思い出し、思わずソフィアはバスタブから立ち上がる。勢いよくバスタブから立ち上がった事により、風呂の湯が排水口に渦を巻き、ずずぅ〜〜〜と音を響かせて吸い込まれていく………。
「ハァ………ハァ………ハァ………」
とりあえず………気持ちを落ち着かせようとする私。ダメよソフィア、怒りに心を任せてはいけないと、パパとママが言っていた。しかし、誰のせいでこうなったと思っているの?………もうアンタ達に説得力、全然無いからね………。
少し冷静になったら手紙の内容が馬鹿馬鹿しくなり、ソフィアは再びバスタブを肩まで浸かり、湯船が溢れ出す。
ソフィアは湯船を口元まで浸かり、ぶくぶくさせてレオナルドの言葉を思い出す。
───これから、お前には俺の婚約者として、最低限の食事のマナーと作法を身に付けて貰う。
(どんな事をするのかな?………)
ソフィアはレオナルドの言葉に、少し憂うつになっていた。さっきまで私は、こことは交わる事は皆無で、縁も無いスラム地区で暮らしていて………貧乏な自分に、果たして出来るのだろうか。
ソフィアは両手でほっぺを叩いて気合いを入れて引き締める。
───着替えカゴには元の服装ではなく、パジャマである白のネグリジェ。
「………ミランダ?」
ソフィアの呼び出しに、ミランダ登場。
「どうしました?」
「びっくりしたっ、私の服は?」
思わずタオルで全身を隠し、尋ねる。
「廃棄しました。これからは、新しい服を用意します」




