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第9話 落ち着かない気持ち




 時刻は夜。


───ソフィアは部屋にあるベッドにて体育座りしてうるうると涙を流していた。涙の理由は消えた家族に会いたいのでは無く、長年い間貧乏で苦楽を共にして連れ添っていた仲なのに、裏切られたからだ。


 硬い絆で結ばれていたハズなのに、あのバカ族は………。と、考えていると腹が立ち、同時に情けない気持ちになる。


 それは数時間前………。

 

「ハァ………ハァ………ハァ………」


 あのあと私は領主館を抜け、かつて住んでいたスラム地区まで息を切らしながら走っていた。石造りの階段を降りて、我が家であるコンクリート造りの家屋に駆け付け、ドアを開けた。


 しかし………家屋の中はもぬけの殻。当たり前だったママの笑顔、人懐っこい妹のルイゼ。夜になればパパが仕事から帰って来て、いつものように家族団らんにありつく。


「あ・い・つ・らぁ〜〜〜〜………本当に私を売りやがったな………」


 怒りしか湧いてこない。ソフィアは拳と身体をプルプルと震わせ、かつての家族団らんにありつていたテーブルを眺めるのである。アイツらは何処に引っ越したのか、レオナルドやスラム地区にいるおばちゃんや知り合いに聞いても教えてくれない。



 ★★★★★★


 私が今、住んでいる場所は領主館。館の二階にある部屋で、中は至って豪華だ。かつて住んでいたコンクリート造りの家屋とは違い、住んでいた居間より広い。


 床はフワッとした緑のカーペットに天井にはシャンデリア、そして職人によるオーダーメイドにより作られた木製のクローゼット。


「ハァ………」


 ソフィアはベッドに寝転がり、大の字になる。環境の変化によりどうしてか落ち着かない気持ち、何故ならいきなりボンビー娘から何の因果か何かの間違いか、領主様の婚約者として迎え入れられてしまった。レオナルド・サンタクルス、ヴァンガード帝国東部であるこのイーストゲイルの領主様であり、私の旦那となる男だ。ハッキリと言えば、彼は税金をどんな手を使ってでも払わせる鬼畜な領主だ。


───誰もいない部屋、静寂に包まれた雰囲気にソフィアは思い浮かべる。パパとママ、そして妹のルイゼを………。


「やっぱり、みんながいないと寂しいものよね………」


 いつも寝る前、妹のルイゼと恒例の如く取り合っていたベッドは今や自分が独り占め状態。不意に思う、今頃みんなはどうしているのだろうか………元気にしているだろうか。


「ソフィア様、失礼します」

 

「はいっ!!」


 部屋に入ってきたメイドに、思わずびっくりして起き上がり、声を張り上げるソフィア。


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