透明な瞳の秘密

　目を覚ますと、僕は自分が彼女の記憶の中に入り込んでいることに気づいた。しかし、まだ何が起こったのかを完全に理解することはできていなかった。この状況について、僕自身も混乱していた。

　ただ、なんとなく彼女の記憶の中だということはわかった。

　覚えているのは、喫茶店で彼女と過去の思い出について話していたことだけだ。私はその時、頬杖をつきながら彼女の透明な瞳に見惚れていた。その瞳には、文字通りに私を引き込むような魅力があった。

　彼女の思い出の中に迷い込んだ私は、彼女の過去に何か重要なヒントがあるのではないかと考えた。喫茶店で話していたことは、彼女の子供時代の遊び場や、苦悩に満ちた青春時代の話であった。ありきたりな言葉だが、その思い出の一つ一つがパズルのピースのように現在の彼女を作り上げてきたのであろう。

　いま、僕がいるのは何県のどこの市にあるのかもわからない、まだ建てられてからそんなに時間が経っていないであろう団地である。ポケットを探るが、スマートフォンはもちろん、ビスケットや小銭すらも見つからない。

　どうしようかと考えながら団地をウロウロしていると、団地に囲まれるようにある公園の砂場で、一人の女の子が砂遊びをしていた。

僕は、ひと目見ただけでわかった。

その女の子が、彼女であることを。。。