9、もっと眠らせてくれ
「お嬢様、お嬢様!朝でございますよ、メルナお嬢様!」
うーーー…ん。
ねむい。
「すーーー、すーー…」
「お嬢様!」
バサっ。
雑いなぁ。
もうちょっと寝かせてよ、私お嬢様なんでしょ?
目を擦りながら起きる眠そうなメルナにサリナは構わず続ける。
「早く準備しないと旦那様が家を出てしまいますよ!」
旦那…あれ?私結婚してたっけ???
ーーーーあぁ。お父様。
お父様への朝の挨拶だ。
…だったらいいやぁーーーふぁぁ。
「怪我も治ったことですし久々のあーーー」
「行かない」
サリナがルンルンで話しているのを食い気味できっぱりと伝えるメルナ。
てか階段から落ちて腕骨折じゃなかったにしろ打撲してたんだよ?体もね!
そらが1週間で治るかよ。まだ痛いって。
まぁ、サリナは気を利かせて言ってくれてるんだろうけどさっ。
「…お嬢様?」
「もう行かないの、決めたの。どうせお父様にとっても無駄な時間だし私も睡眠大事だし、お互いにとって損はないと思うの。だからこれからはこんな朝早く起こさなくて結構よ。」
バフッ。
再びベッドに横になるメルナ。
「てことでおやふみぃ〜」
「お、お嬢様ぁぁぁ!?」
ねぇ…、聞こえなかったのかしら。
私はお休みって言ったのよ。
お願いだからきんきん声で叫ばないでサリナ。