7、私ってどれだけわがままだと思われてるのよ
もぐもぐ、ごくん。
ぱくっ、もぐもぐもぐ…。
んーーーーー。
美味しい。美味しいけどさ?
多すぎないか!?食べても食べても減らないのだがっ。
テーブルの上に広がる朝から豪華すぎるズラリテーブルいっぱいに並べてある朝食。
パン、スープ、サラダ、お肉、魚、リンゴのタルト…。
「ノルド…」
部屋の様に控えていたノルドが私のところまで来てスッと前かがみに私の話を聞く姿勢を作ってくれる。
「いかがされましたか、お嬢様」
「あーうん。あのさ?朝食のことだけど…」
ポリポリと頬を人差し指で触りながら言いにくそうに話しだしたメルナに、ノルドは「なるほど」と何やら気づいたようだ。
「申し訳ございません、すぐにシェフをクビにいたします」
⁉︎
「へ!?」
「…おや、違いましたか?」
少し驚いた顔をしたノルド。
いやこっちが驚いたんですけど!!
なんでいきなりのシェフクビ宣告なんだよ!
「いやいや、そうじゃなくて!だから、その。…明日から朝は何か果物1品にして欲しいって言いたかっただけよ」
「ふむ、やはり味が…だから、加工せずに手を加えるなということですね?」
うん、違う。
何を言ってもシェフがクビになる未来しかないようだ。
バンッ。ーーカチャ
「だから!おいしい、おいしいよ?とーーってもね。でも食べきれないから申し訳ないし、むしろ私は朝は紅茶でも良いってくらい少食みたいなの!」
ついついテーブルを叩いてしまったよ、すまん。
落ち着けーー私。
「ゴホンッ。…てことでこれから朝はそんな感じでよろしく」
「かしこまりました」
やっとわかってくれたみたいでノルドはニコッと笑顔で聞き分けてくれた。
朝食終えたメルナはノルドや周りに伝えさせるのも不安だったこともあり厨房に訪れて、
「シェフ…いつも美味しいご飯をありがとう。けれどこれからは朝は胃もたれするからフルーツのみにして欲しい」
と丁寧に説明しに行ったのだった。
それに対して、シェフ含め使用人たちのメルナへの好感度が「我々に感謝と謝罪、気遣いまで!」と爆上がりしていたのを本人だけが知らない。