5、(メイド:サリナ視点②)
部屋に入って全力で土下座をした。
けれどもお嬢様はとても優しく許してくださった。
…???
どう言うことなの!?
最近は少し言い出したら聞かないところがあったお嬢様は今日はとても静かに落ち着いていらした。
あろう事が私の頬の小さなかすり傷まで労って下さった。
元はと言えば私が巻いた種なのにっ!!
旦那様のことを聞いても泣き叫んだりしなかったので周りの使用人たちも驚いているようだった。
そして言いたいことを言い合えるとお嬢様は布団の中へと消えていった。
その背中はとても小さく寂しいもので、10歳の女の子の背中では無かった。
今にも壊れてしまいそうだった。
私たちは顔を見合わせて部屋を出た。
「…ねぇ、先程のお嬢様どう思う?」
「うん、なんか。なんていうか…」
「寂しそう…に感じた」
メイドのうちの1人が切り出したことにやらザワザワと意見し合った。
「いつもと、様子が違いましたね。…サリナさんの怪我の心配までしていましたし。何か心境の変化があったのでしょう。しばらくは見守りましょう」
先程お嬢様に話しかけていた、お嬢様の執事であるノルドがニコッと微笑みながら、パンと手を叩いた。
それを合図に皆仕事に戻った。
…お嬢様。
お嬢様は、お一人ではありません!
このサリナがついております。
そして、今日の御恩も一生忘れません。