4、(メイド:サリナ視点①)
お嬢様が目を覚ましたと聞いた。
安心したと同時に、今日でこの侯爵邸を去るのだと…自分のクビを受け入れる心の準備もした。
来月で10歳を迎えるメルナお嬢様に仕え出したのは3年前からだ。
5歳の時に母親を亡くされたお嬢様は、愛にとても飢えていらした。
毎朝、朝早く起き旦那様の執務室に朝の挨拶に行くのがお嬢様の日課。
幼い子供に毎朝6時起きなんて早すぎる。
けれども皇室の騎士団長である旦那様は6時半には家を出てしまうので起きて20分でおめかしして急足で会いに行っているお嬢様はとても可愛らしいと思う。
まぁ、旦那様は、「あぁ」の2文字しか発しないしいつもお嬢様の横を素通り。
…もう少しお嬢様を見てほしいものだ。
旦那様じゃなければ怒鳴っているところだ。
「自分の子供のことぐらいちゃんと見てあげろーーっ」てね。
一昨日のお嬢様は、急にそんな旦那様に会いに王宮へ行くと言い出したのだ。
私は止めた。
旦那様の為ではなく、お嬢様が辛い間に合わないために。どうせ行っても旦那様は「帰れ」って言うに決まっていますもん!
…けれどそのせいでお嬢様は怪我をされた。
私は何をやっているのだろう。