23、離脱
「いえ、そのっ」
王子の登場で顔を赤くしたかと思えば途端に真っ青になるモナシア・グレーテル。
まーー、そうなるわな。きゃ、王子様かっこいい、かーらーのー、この状況やべーーー!てな。
まだ10歳だもんね…っ。同い年かよ⁉︎
許してやるか。
「いえ、特に何もございません。モナシア様に私の自慢兄弟を紹介していたところ、皆さまも興味があったみたいでいつも間にか人だかりができていたようですわ」
メルナは「ねっ」とパチンとウインクしてモナシアに話を合わせるように合図する。
「そそそ、そうなのです!」
コクコクと必死に頷くモナシア。
わざとらしーーー。でも、本人達がこう言ってるんだからこれ以上は流石に突っかかってこないでしょ。
王子は一瞬目を細めたがすぐに笑顔を貼り付ける。
「へぇ。ーーーところでメルナ嬢、やっとお会いできましたね。僕はフィリクス・マチグナです。プレゼント身につけてくれているようでよかったよ。とても似合ってて美しいね」
王子はスタスタとメルナに近づき、自己紹介をしたかと思うとメルナの髪をすくい、ちゅっとキスをした。
ぐばっ。
なんだこの10歳は!!
髪にキスすなてっ。周りに勘違いされるでしょ?
仲良いって思われちゃうじゃないの。
メルナはソロリと一歩下り淑女の礼をする。
「お初にお目にかかります、スフィーク侯爵が娘メルナ・スフィークでございます。
そしてこちらがお兄様のグレイスとミリナです。
誕生日パーティーに参加しない代わりに、わざわざプレゼントを用意してくださりありがとうございます。」
私は私だけに注目が集まるのが嫌だったので兄弟を道連れにして話に食い込ませた。
お兄様もミリーも綺麗に習いたての礼をとる。
そして、パーティーなんて開いてないけどあくまでも、パーティー参加出来なかったからプレゼントを送ってくれたってことを強調させた。
私たちはー、それだけの関係ですー、初対面ですわってね!
「ふふっ、そうだね。そう言うことになるのかな?」
何やら王子は楽しそうに笑った。
は?何笑っていらっしゃるんですかねーーー?
こちらとら、何も面白くないのですけど。
「あ、そういえば王宮のお菓子気に入ってくれてたみたいだし向こうで一緒にどうかな?」
王子が手で指す方には、少し離れたところにテーブルと椅子があった。
まじかよ。
話すことなくね?
つまり、答えは一択。
「まぁ…ご一緒したい気持ちはやまやまなのですが、先程からミリーが体調を崩しているようなので私も兄とお暇しようと思っていたところなのです。
あ!モナシア様!モナシア様達も大変お菓子がおいしいと気に入ってらしたので私どもの代わりにぜひどうぞっ」
私がチラッと後ろに目線をやると、お兄様がすかさずミリーを抱き上げてこそっとミリーに「目をつぶって寝ていろ」と言ってもフォローしてくれた。
ミリナは何が起こっているかいまいちわからないみたいだが、とりあえずグレイスの言うことに従い目を閉じて腕の中におさまった。
ないすーーーー!
さっすが、お兄様。
メルナとグレイスはペコだと挨拶をするとスタタタッと人混みを抜けて出て行ってしまった。
その後王子はモナシア達とゆっくりお菓子を堪能したとか…。
なんでもとーーっても楽しかったと言う感謝と兄弟を馬鹿にしてごめんなさいというとても分厚い手紙が後日メルナに届いた。
メルナたちが去った際、「逃げられた、か…」と王子はが小さく呟いたのは誰の耳にも届かないのであった。




