14、アスナ・スフィーク③
コンコン。
ノルドと共にメルナが食堂に入ってきた。
「お、おはようございます。お父様」
…。
私と同じサラサラの黒髪と妻とお揃いのルビーのように輝く瞳。
僕の記憶のメルナと一致しているはずが、服装のせいか2週間見てないだけでやけに大人びて感じた。
「…あの?どうかされましたか?」
メルナは首を傾げた。
「い、いや。おはよう。早く先に着きなさい」
パッと視線をそらすアスナに対し、メルナはじっとアスナに目をやったまま訝しげに席についた。
2人が席に着くと次々にテーブルに料理が運ばれてきた。
シャキシャキシャキ。
???
なんだあれは。
僕の目の前にはたくさんの料理が並べられてあるのに対し、メルナの前には剥いたリンゴが数個あるだけだった。
あれだけではさすがに、足りないだろう。
アスナが自分の前にあるオムレツをスッとメルナの前に置いた。
「…お父様?」
「食べなさい」
「え、あの。…はい」
メルナは遠慮がちに笑った。
っ!!
どうだ!僕とルナの仲の良さは!
よし、この調子で誕生日のことも聞くぞ。
〜〜〜〜
「スフィーク卿、来月のメルナ嬢の誕生日パーティー僕も行きたいなぁ」
「…」
あからさまに眉をしかめたアスナを無視してこの国王子フィリクス・マチグナはいい笑顔で続ける。
「招待状、よろしくお願いしますね?騎士団長様」
〜〜〜〜
そうだった。
あの生意気な殿下も来たい言っていたな。
アスナ長く、ふぅとため息を漏らした。
「来月の誕生日パーティーには殿下もいらっしゃるみたいだ。上手くやるように。それと、何か欲しいものがあればなんでも言いなさい」
さぁ、なんでも言っていいんだぞ。
なんて言ったって誕生日なんだ。何だって買ってやるぞルナ。
「お父様、パーティーは開かないことにしました。それに特に欲しいものも無いので大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
ズキン。
胸が痛い。
「………そうか」
「はい。では、お先に失礼致します」
メルナはふわっと笑うとそのまま食堂を出て行った。
パーティーを開か…ない?
誕生日プレゼントもいらない。
…いったいどう言うことだ。
ついこの間まで私の後をついてきては、キラキラとした瞳で話しかけてくれていたメルナはどこにもいなかった。先程の笑顔も、まるで外で他人に接するかのような綺麗な笑みだった。
まるで線が引かれたかのような豹変ぶりにアスナはただだ混乱した。




