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ときめき

 私が誘拐されたことはすぐルーナ達の耳に入り、息を切らせて駆け付けてくれた。


 シェリーは私から離れたことを後悔して大泣きしながら抱きつく。


「ごめんねぇーー!!レックスちゃん!!あたしのせいでぇーー!!」

「うるせぇよ。耳障りだ」

「あんたはレックスちゃんが心配じゃないの!?もし傷でもつけられてたら」

「だ、大丈夫だよ!アラン団長が助けてくれたから……」


 人を殺すことにためらいがなかったアラン団長の姿は、ドラマや映画で観ていたどんな猟奇的殺人鬼よりも怖かった。


 私を助けるために殺したのなら、私のせいで人が死んだことになる。


 それが何よりも怖い。


 最低だ私。人が死んだのに自分のことしか考えてない。


 惨めで情けなくて溢れる涙を止めようと必死になってるとアラン団長が手を包み込んでくれた。


「目を擦りすぎるのはよくありません」


 男性らしい藍色のハンカチを差し出してくれた。


「この度は我々の落ち度により危険な目に合わせてしまい大変申し訳ございません」


 謝罪と同時に他の騎士も一斉に頭を下げる。


 全騎士団が総出で警護にあたっていにも関わらず誘拐なんて卑劣な犯罪が起きた。


 そんなアラン団長達にハティはここぞとばかりに責め立てる。


 英雄騎士がいながら私が巻き込まれるなんて警備体制が不十分だとか、とにかく色々。


 仕返しのつもりなのだろう。


 キレてしまいそうなジルを制止してアラン団長はハティの言葉を真摯に受け止めた。


 大人の余裕を見せつけられたハティは悔しそうに顔を背ける。


 せっかくの楽しい雰囲気を台無しにしたことを謝ると、ソフラが涙を浮かべながら私の手を取った。


「レックスさんは悪くありません!!」

「そうです。私が……」

「泣かないでルーナ。私の不注意なんだから」

「いいえ!あたしが……あたしが好きだって言い逃げなんてしたから」


 空気にピキっと亀裂が入る音がした。大泣きしながら骨が折れるほど強く抱きしめられる。


 ──ギブギブ!!


「おい男女。レックス嬢が圧迫死する前に離せ」

「はぁぁぁ!!?あたしは女よ!この鬼畜!!」


 それはそれで色々とややこしくなるのでは?


 シェリーは私を離さないと言うように抱きしめる力を強めた。


 私を挟んで喧嘩まで始める始末。団長同士の争いは止めるのとも出来ず誰もがオロオロしていた。


 こうなったら究極奥義を使うしかない。これだけは使いたくなかった。


 発動のために必要なのは勇気だけ。


「いい加減にしないとお父様に言いますよ」


 強いなお父様。騎士団長は二人して黙り込んだ。


 お父様パワーのおかけで一時休戦となった。親の力を宛にするなんて呆れられるかも。


「大丈夫ですよ。貴女が私欲のためにケエイ殿の名を使わないことぐらい嫌というほど知っています」


 私のためではなく本心からそう言ってくれているのが嬉しい。


 話し合いの結果、私は明日の朝早くに発つことが決まった。


 帰るのは私だけでソフラ達はまだ滞在してもいいのに一緒に帰ることを希望。


 もし万が一、また同じように襲われたりしないように騎士の実力を考慮し護衛にはアラン団長が。


 瞬間移動の魔道具を使えばいいのではと案があったものの、そんな疲れることはしたくないと断固拒否。


 ルーナは王族としての仕事が山積みで次に会えるのは新学期。

 王位を継がなくても遊んでばかりいられない。王女としての責任があるのだ。


「忘れるところでした。レックス嬢」

「はい?」

「よく似合っていますよ。ヘアピン」


 月夜に照らされ微笑んだ。


 わざとときめかせてない?


 スチルだよ。百%スチルの顔だよ!!カメラ欲しい。切実に。


 私利私欲のために作って欲しいとお願いしてみようかな。


 人を殺す姿を見たのに、軽蔑や恐怖はなくなり、好きという想いだけが膨らむ。


 あの殺意が私に向けられたことがないからだろう。

 我ながら単純。

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