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大掃除

「客人にこのような雑用をさせてしまい申し訳ありません」

「どうせ暇ですから」


 滞在二日目。


 今日はルーナが週に一度のダンスの授業があるため私達は王宮から出られない。


 今のは語弊がある。


 出られるけど迷子になりたくないから出ない。が、正しかった。


 見知らぬ土地ってのはどこも同じに見えてしまう。


 オーシャン王国の歴史が綴られた本を読んでいると、三人の男性陣を引き連れたアラン騎士団長が部屋を訪ねてきて、今に至る。


 王国内にある物置。


 そこは魔道具の保管場所となっていて、私達は片付けの手伝いをしている。


 物置といっても使わなくなった部屋に溜め込んでいるだけ。


 どれほどの年月、放置されていたのか。鍵が上手く回らず最終的に蹴破った。


 何とも力業。


 誰もがポカンとしたのは言うまでもない。


 部屋も埃だらけ。咳き込んでいると室内なのに小さな竜巻が作られ宙に舞う埃を吸い取った。


 掃除機みたいだな。


 ここは地下で窓もなかった。

 何をするための部屋かは怖いから聞かない。


 明かりとなる電球は割れていて暗いまま。アラン騎士団長が指を鳴らすと壁が淡く灯りを灯す。


 この壁も魔道具の一種?面白い発明をする人もいたものだ。


「道具の能力ごとに仕分けすればいいんですか」

「いいえ。残す物と捨てる物です」


 手に取った魔道具の埃を払いながら言った。


 魔道具に被っていた埃までは取れていない。

 もしかして制限があるのかな。


 宙に浮いているゴミしか吸い込めないとか。

 魔道具は便利だけど使い方次第。あとは使い手の問題。


「あの……。どう言う物を残せば……?」

「適当でいいです。皆さんが気に入ったのはそっちに、あとはこの箱にお願いします」

「いやいや!!重要なアイテムとかだったらどうするんですか!?」

「と、言いますと?」

「ですから……。例えば未来を写す鏡とか、そういうのがあったら」

「どうせ私しか使えませんから」


 いくら優れた道具でも魔力がなければガラクタ同然。


 使える・使えないじゃなく、使う・使わないを重視するなら部屋一面を埋め尽くすこの量は邪魔。


 処分しようにもアラン騎士団長がいなければどんな能力かも検証出来ない。本人がいてもやってないけど。


 英雄騎士にこんな雑用を任せられるわけもなく長年ほったらかしにされていた。


 かなり古い物もある。


 何十……何百……。そんな昔からの物かも。


 魔力を持った人は過去にもいたからありえない話ではない。


 アラン騎士団長は表紙のない分厚い本を手に取った。魔力を注いだのか本は光り、表と裏に龍が現れる。


「読みますか?」

「え……?」

「興味があるのでしょう?我が国の歴史に。これも歴史の一部ですよ。まぁ単なる神話ですが」

「アラン騎士団長は捨てたいんじゃ……?」

「私はどちらでも」

「それじゃあお借りします」

「差し上げますよ。手伝ってくれたお礼として」

「あ……あり、ありが……」


 言葉が詰まる。


 好きな人の顔って直視するのも難しい。


 お礼も満足に言えないなんて人として最低。


「やれば出来る!!」と、自分を鼓舞してる内にアラン騎士団長は移動していた。


 うう……。また後で言おう。


 アラン騎士団長の動作って一つ一つが綺麗。物を取るにしてもしなやかで美しい。


 騎士というより貴族のほうがピンとくる。


 黒い丸メガネを面白半分でかけてみるとハティ達の頭の上に何か見えた。


 ハートマーク?しかも色付き。


 ハティとクロックはピンクのハートが四つ。ルカは青のハートが二つ。


 ソフラは青のハートが五つ。アラン騎士団長にはない。

 メガネを外すと消えた。


「ねぇソフラ。これをかけてみてくれる?」


 明かりのために魔力を使ったときにこのメガネにも反映されたのかも。それを証明するには私以外の人がハートを見えないと。


「これ伊達なんですね」

「それだけ?他に何か見えたりは?」

「特には」

「アラン騎士団長!これ……」

「どうしました?ん?あぁ、それは処分で構いません。魔道具ではありませんので」

「え……?違う…んですか?」

「ええ。だってそれ。祭りの出店で売ってるオモチャですから」


 マジか。え!?この世界にもお祭りとかあるんだ。


 ロフィーナ国にはなかった。


 いいな。私も行きたいな。


 ん?待てよ。これが魔道具じゃないならなぜ私にだけハートが見えるの?


 人によって色が違うのも気になる。


 それにあのハート。どこかで見たことがある。


 ………これあれだ!ゲームの好感度!!ピンクが恋愛で青は友情。

 最高五つがMAX。


 待って。あの二人の恋愛好感度が何でこんなに高いわけ!?


 普通にスルーとこだった。好感度なんて、あってもせいぜい一つぐらいだと思ってたのに。


 見間違いかもしれないからもう一度確認するも変わらない。


 ヒロインがいなくなった途端に権力狙いなわけ?


 ゲーム上の偽物の恋心だったとはいえ、よりによって私?自分達のしたことを忘れてないよね?


 例え世界から男がこの二人になったとしても絶対にありえない。


 どちらかを選ばなきゃいけないなら迷わず死んでやる。それぐらい嫌だ。


 ハートの見えないアラン騎士団長は攻略対象じゃないのかな?こんだけイケメンでそれはない。


 隠しキャラ的な?


 ゲームなら全員攻略したあとに出てくるのがセオリー。現実にそんなこと出来るわけがない。


 好きでいるだけだから、対象だろうと対象じゃなかろうと、どっちでもいいのだ。


 人が多いと整理……というか掃除ははかどる。部屋があまり広くないのもその理由。

 だからか適当に放置されてる感が強く本当に物置。


 過去にはオーシャン王国の発展や繁栄に貢献した道具だってあるだろうに。今ではガラクタ扱い。


 アラン騎士団長が変わっていると言われればそれまで。


 埃まみれになりながら掃除を終えたのは、シェリーが呼びに来てから。


 見違えるほど綺麗になった部屋を見て拍手が送られた。


 アラン騎士団長だけが汚れてないのが納得いってない。同じ作業をしていたはずなのに。


 男性陣はともかく私とソフラがこのままでいるのはいけないとお風呂に入ることになった。


 王宮のお風呂か。さぞ立派ななんだろう。


 しれっとシェリーが体を洗ってくれると入ってきたときのアラン騎士団長の顔は鬼だった。

 呼び止める声があまりにもドスが効きすぎている。


 オネエが定着しすぎてて女性だと認識してしまっていた。


 本人も自分を男だと思ってない部分もあり違和感はなかったのだろう。

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