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夏休み計画

「はぁ……」


 翌朝、お父様は朝食も摂らずに陛下の元へと出掛けた。お母様も笑顔で見送って。


 頭を抱えていると、ファーラン家のおこぼれにあずかりたい生徒達に囲まれた。


 本気で心配なんてしてないくせに。

 静かにしてくれないかな。


「おはようございます。レックスさん」

「おはよう。今日はいつもより遅かったね」

「実はお父様からお手紙が送られてきて。嬉しくて何回も読み返してるとこんな時間に」

「仲良し家族になったんだもんね。それよりルーナ。聞いてもいいかな。お父様と前国王陛下って、どうやって知り合ったの?」


 ルーナは答えずに小さく笑った。


 待って待って。言えないようなこと?それとも単に本当に面白いだけ?


 どっちにしても気になる。


「そんなに気になるならご自分で聞かれてはどうですか?」

「っ……!?」


 気配なく現れては後ろから囁かれた。


 だからイケメンでイケボは卑怯だってば。


 くそー。声が合いすぎてる。アニメとかはあまり見るほうじゃないけど、こんな声を持った人がいるなら世の女性を虜にしてそう。


 私が内心で悶え苦しんでるなか、学園長は「どうしました?」なんて聞いてくる。


 わざとやってないかな、この人。耳が熱い。


「ところでレックス嬢は夏休みは何かご予定は?」

「特にありませんけど」


 出された宿題を早めに片付けてダラダラしようとは思っている。


 私が生きていたときは、夏休みはめいっぱい遊んで最終日に地獄を見るということを毎年繰り返していた。昔は計画性がなかったんだな。


 でもね。子供の仕事は遊ぶことだからね?


 プールはほぼ毎日。暑いから水に触れていたかった。

 宿題はやるつもりで机には出しているけど、漫画でよく埋もれる。


 大人になったらなったで自分の時間はなくなった。


 食っては寝食っては寝のぐうたら生活に憧れていた。暑いなか外にも出たくないし。


 そんな贅沢なことがこの世界、あの家でなら叶う。


 なんてったって娘LOVEの両親に加えてお金持ち。一日中ベッドの上でゴロゴロするのだって夢じゃない。


「それなら我が国に遊びに来ませんか?」

「……ん?えと……その国というのはオーシャン王国でしょうか」

「そうですね」

「なぜ私を?」

「色々理由はありますが、私とルーナ様は一度国に帰るので、それでと思ったのですが」

「それはいい考えです!是非ともソフラさんと遊びに来てください。精一杯のおもてなしを致します」

「き、気持ちは嬉しいんだけど……」


 隣国とはいえお父様の許可が降りるかどうか。


 お父様は仕事を休めないだろうから騎士の何人かが護衛に付いてくれるんだろうけど、それでもお父様の辞書に「可愛い子には旅をさせよ」なんて言葉はない。


「道中の心配をなさっているのなら大丈夫ですよ。私がお守りしますので」

「が、がく……がくえ……ちょ、が……っ!?」

「アランはお兄様の護衛でしょう?」


 ルーナの顔に怒りマークが現れている。


「ええ。そうですね。シン様とルーナ様。お二人の護衛になります。しかし我が国の恩人でもあるケエイ殿の愛娘を危険に晒すと私の首がはねられます」


 恩人とは?


 サラッと聞き逃せないような爆弾を放り込んできた。


 今頃になってある疑問が浮かぶ。


 ──お父様って何者?


 ただの公爵というにはあまりにもチートすぎる。お偉い人に好かれる能力でも持ってるの?


「そ、その旅行。俺も同行してもいいか」

「女性の会話を盗み聞くなんて悪趣味ですよ?ハティ様?」


 王位の座を外されたハティはようやく自分の考えが間違っていたことに気が付いた。


 いや、遅いから。


 本来であれば最初から、そういう姿であるべきだった。


 クロックとルカもついていくと手を挙げる。


 ルーナは笑ってはいるものの心底嫌なのが伝わってきた。


「私が嫌なら別の騎士を護衛に付けますので」


 見事に三人をスルーした。スキルレベル99を思わせる。


「他にもオーシャン王国の騎士がいるんですか?」

「え?」


 笑顔で聞き返された。


 学園長は悩みながらも「会ってますよね?」なんて言われる。


 え、そうなの?


 私の知っている騎士は、王宮騎士かガラル家。あとはうちの騎士団。


「実力は保証しますよ。私の団の副団長なので」

「ごめんなさい。誰のことを言ってるのか見当がつきません」

「ジルですよ。ケエイ殿にはお伝えしていますが」

「ええっ!!?そうなの!?自称騎士じゃなかったんだ。だってお父様は……」

「店のほうの人手が足りないからそっちに回す、と仰っていました」


 お父様。他国の騎士様を存外に扱いすぎです。


 ジルもよくそんな屈辱に耐えてたよね。騎士としてのプライドもあっただろうに。


 帰ったら謝ろう。自称騎士と思っていたこと。


「それではレックス嬢とソフラ嬢が遊びに来てくれると報告しておきます」

「あ、あの。お父様には……」

「私のほうでご連絡します。心配しなくても大丈夫ですよ。許可は取りますので」


 学園長の絶対的自信はどこからくるんだろう。


 私だってオーシャン王国には行ってみたいけどさ。


 行くことは決定しているらしく、ルーナは鼻歌交じりに席についた。

次回、夏休みオーシャン王国編 スタート

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― 新着の感想 ―
[気になる点] いつもよりだいぶ短いですが、途中なのでしょうか?
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