第7話 魔神ミノタウロス
翌日
ディオーネ、唯、武は朝食を食べ終え出発する準備をしていた。
ディオーネは二人に
「邪神の神殿は言い伝えではヨテイナ地区という所にあるの…転移魔法が使えればいいのだけれど、この世界ではまだ誰も使える人がいないのよ。だから、ある生き物に乗って移動するわ、、、」
と言いながら、三人は王都の出口まで歩いた。
そこに見た事がある生き物3匹が待っていた。
前世では亀にそっくりな生き物である。
唯は武に
「これってどうみても亀だよね?歩く方がまだ速くない?」
と苦笑いしている。
「この生き物に乗って、どのくらいで着くんですか?」
武はディオーネに尋ねた。
「今日の昼過ぎには着くわ、、、歩いたら3日ぐらいかかるのよ。道中、魔物に遭遇する場合もあるから、乗って行った方が逃げ切れるわよ」
武は目を丸くした。
「この生き物、そんなに速く移動出来るんだ!」
武は、どうすればそんなに速く移動出来るか想像つかなかった。
三人は亀みたいな生き物の上に乗る。
すると、その生き物はあり得ない速さで足を動かし前に進んだ。
進む時、頭の部分が出たり引っ込んだり、高速で動いている。
武は、うわっ!キモッ!って心の中で叫んでいた。
昼過ぎに予定通り神殿に到着した。
道中は、魔物の気配を感じたが、遭遇する事はなかった。
神殿というだけあって、巨大な建築物である。
「言い伝えの通りの場所にあったわね~」
亀に似た生き物を、木にくくりつけながらディオーネは言った。
「邪神以外に魔物もいますよね?」
唯がディオーネに聞いた。
「多分いると思うわ…、私も中に入るのは初めてなのよ」
ディオーネも少し緊張しているようである。
唯は、神殿って言うなら、普通は神様が住んでいるものじゃないの?って心の中で思った。
ディオーネは
「準備はいい?いよいよ入るわよ」
と二人に声をかける。
神殿の中に入ると、昼間だというのに中は薄暗い。天井が見えないぐらいの大きな広間があった。そのまま前に進むと地下に行く階段がある。三人はゆっくり慎重に地下へ降りて行く。
今のところは、まだ魔物は出て来ない。
地下を降りて突き当たりに、大きな扉にぶち当たった。
ディオーネはゆっくりと大きな扉を開けると、そこには巨大な椅子に座った魔物がいた。
その魔物は、人間の姿をしているが、頭部が牛であり3メートルほどの大きさで巨大な斧を持っている。
唯は思わず
「ヤバイ!!ヤバイ!!」
と叫んでいた。
ディオーネは
「魔神ミノタウロスだわ!」
と呟いた。