第13話 漆黒
巨大な穴の中腹に、3羽の鳥の魔物がいる。
留依とディオーネも、穴に近づく。
「魔物がいる……」
ルシアンは、魔物をジッと見つめる。
するとマグマの中から、頭部に2本の角が生えた、漆黒の悪魔の様な姿をした魔物が現れた。
「隠れて!!」
絵里が小声で言った。
3人とも頭を引っ込める。
悪魔の様な姿をした魔物は、3羽の鳥の魔物に向かう。
留依は一目見て、顔から血の気がひいた。
(ひぇ~、あれは絶対ヤバいやつだ!!心臓がバクバクする……)
ディオーネを見ると、目を閉じている。
今度はルシアンを見ると、恐怖で体が震えている。
(お願い!早く何処かに行って!)
留依は心の中で祈った。
「消えたわ…」
絵里は小声で言った。
留依もディオーネもルシアンも、胸をなで下ろした。
「圧倒的な魔力を感じたわ…魔神ケンタウロスなんて、あの魔物からみたら子供みたいなものよ……」
絵里が呟く。
「あれがもしかして…」
留依は3羽の鳥の魔物を見ていたら、岩の壁が開き中から横たわった状態のケルベロスが連れて来られた。
「ケルベ…」
思わず留依が叫びそうになるも、ルシアンに口を押さえられる。ルシアンは口に人差し指を立てる仕草をしている。
留依の後ろに下がっていたディオーネが叫んだ。
「二人とも!そこから離れて!!」
留依はディオーネを見た。そして、ディオーネの視線の先を追うと、留依の目の前に鳥の魔物が1羽飛んでいた。
ディオーネは詠唱を始めた。
「留依!逃げろ!!」
ルシアンは留依の腕を掴んで立とうとした。
「ギギィー!!ギ、ギィー!!」
鳥の魔物が騒ぎ出した。
「くらえっ!!」
ディオーネは立ち上がり鳥の魔物に、氷柱の形をした氷の塊をぶつける。
「グサッ!!」
鳥の魔物は、体に氷柱が刺さったまま、マグマの底に落ちて行った。
「ありがとうございます!ディオーネ様」
留依はルシアンと一緒にディオーネの元に行った。
「今の魔物、多分仲間を呼んだはず!準備して!留依、ルシアン様」
ディオーネはそう言いながら、次の新たな魔法の詠唱を始めた。
すると穴の中から、2羽の鳥の魔物が出てきた。
ルシアンは鞘からスレイヤーソードを抜く。
留依は雷の矢を構えた。
2羽の鳥の魔物は、3人に襲ってきた。
逸早く留依は、2羽めがけて矢を放つ。
「グサッ!!グサッ!!」
2羽とも矢が刺さる。ルシアンはその隙に、スレイヤーソードで2羽の魔物の首をはねた。
「ズバッ!ズバッ!」
2羽とも地上に落ち動かなくなった。
「ふぅ~」
留依とルシアンは、大きく息を吐いた。
「早く助けに行きましょう!早くしないと、私達も魔物になってしまう」
ディオーネはそう言うと巨大な穴の淵に立ち、詠唱した後、杖を振る。
ケルベロスがいる場所への氷の階段が出来上がった。
「熱さで氷が溶ける前に」
ディオーネはそう言うと、氷の階段を駆け降りた。その後に留依とルシアンも付いていく。
ディオーネ達はケルベロスの元に駆け寄る。
「ケルベロス!?ケルベロス!?」
留依はケルベロスの体を揺すった。
「留依!?なぜ、魔界に来たのじゃ?」
ケルベロスは意識を取り戻し、ゆっくり起き上がる。
「話は後だよ、ケルベロス!早くここから離れよう!またあの化け物が来たら…」
留依達はケルベロスと一緒に、氷の階段を駆け上がり、マグマの穴から脱出した。
「少しでもこの場から離れよう!」
ルシアンの言葉に全員頷き、急いで巨大な穴から離れた。
「かなり離れたから、一旦ここで休みましょう」
ディオーネが言うと、留依とルシアンはその場で腰を下ろした。
「コカトリスはどうしたのじゃ?」
ケルベロスが全員に尋ねた。
「あれ、コカトリスって言うんだ。皆で倒したよ」
留依が答えた。




