第6話 稽古
唯はディオーネから、魔術師の杖を授かった。
「この杖はあなたに渡すわ。杖がないと炎の魔法が使えないから、無くしないようにね」
唯は、自分が魔術師になったんだと杖を握った時自覚した。と同時にもう引き下がれないところまできてしまったと感じた。
「唯が回復魔法を使えれば良かったけれど、使えないから薬草を持って行くしかないわね」
ディオーネは唯に薬草を見せた。
「私には、どうしても会いたい家族がいるんです…父や母、妹や弟……妹は大の仲良しなんです。弟は少しエッチだけど、それでも大事な家族なんです…絶対現世に帰ってみせます!」
唯は空を見上げながらディオーネに言った。
ディオーネは力強く頷いた。
ジョエルは、武に剣術を教えこんでいた。
「一旦、休憩しよう」
そう武に言いながら、ジョエルは中庭の草の上に座った。
武もそれに続いて、ジョエルの隣に座った。
「君たち、転生者なんだろ?」
おもむろに武に尋ねた。
武は頷いた。
「何人かこの王都に転生者は来たんだが、ほとんどの転生者は魔物にやられてしまったよ…」
ジョエルは空を見上げながら、呟くように武に言った。
「お前は、魔術も素晴らしいが剣術も才能がある…死ぬなよ…」
「唯を守りたいので、俺は死にませぇっん!」
武は噛んでしまった。
「おっ!?おっ、そうか!お前に俺の剣を渡すよ。邪神を倒したら、元の世界に帰れるんだろ?邪神を倒し戻ってきたら、返してくれればいいから」
そう言いながら、ジョエルは武に剣を渡した。
「ありがとうございます」
「今日で剣の稽古は終了だ!」
手を振って、ジョエルは宮廷の中に消えていった。