第8話 2個目の魔石
ケルベロスを襲いかかろうとしたオルトロスに、瑠依は雷の矢を放つ。
「人間ごときがこざかしい…」
オルトロスは、苛立っていた。
ケルベロスは大きく口を開け、焔を吐く。
「そんな焔が効く訳なかろうが!」
オルトロスも大きく口を開け、焔を吐いた。
魔力が上がったオルトロスの焔にケルベロスは押されそうになる。
「まだ人間ならここにいるぞ!」
そう言いながら、ルシアンはオルトロスに切りかかる。
「ふんっ!」
オルトロスは、前足でルシアンを吹き飛ばした。
ルシアンは、木に叩きつけられ失神した。
「ルシアン様!」
瑠依が叫んだ。
「もう一度…」
瑠依が、数本の雷の矢をオルトロスに放つ。
オルトロスは全ての雷の矢をかわして、瑠依に襲いかかる。
しかし、オルトロスの動きが止まった。
ケルベロスがオルトロスの蛇の尾を噛んでいた。
「大人しくしていればいいものを!」
そう吠えながら、オルトロスは前足でケルベロスを吹き飛ばした。ケルベロスは木に叩きつけられ動かなくなった。
「ケルベロス!」
瑠依が叫んだ。
オルトロスは、ゆっくりと瑠依の前に立ちはだかる。
「その杖に付いている魔石も手に入れれば、邪神どころか魔王でさえも勝てるであろうな…」
オルトロスは、ジッと瑠依の杖を見ていた。
「あんたなんてディオーネ様がいたら、簡単にやっつけてくれるんだから!!」
そう言いながら、杖を持つ瑠依の手は震えていた。
「女子高生を舐めんなよ!!」
瑠依は杖で、オルトロスに殴りかかる。
オルトロスは、前足で瑠依を吹き飛ばし木に叩きつけらる。
「バシッ!!」
吹き飛ばされた瑠依は、全身に激痛が走る。
あまりの痛みに目を開ける事も出来ない。
(起き上がれない…)
「あ~、ヤバい…殺される…」
瑠依は、死を覚悟した。
「来たわよ!瑠依!」
絵里が瑠依に言った。
「何が?何が?」
瑠依は意味が分からなかった。
「情けないわね~、それでも私の弟子なの?」と聞き覚えのある声が聞こえた。
瑠依は、ゆっくりと目を開けると見覚えのある爆乳の美女が瑠依を庇うように立っていた。
「師匠ー!」
ディオーネの顔を見た途端、瑠依は安心したのか泣き出した。
「間に合って良かった。あなたに何かあったら、天界で唯に合わす顔がなかったわ」
ディオーネは瑠依に微笑んだ。
「何でディオーネ様がここに?」
瑠依は泣き止んで、ディオーネに聞いた。
「話は後よ、瑠依!お母様、瑠依を回復してあげて」
ディオーネは、そう言うと呪文を唱えだした。
「詠唱完了!魔獣オルトロスよ、弟子を随分可愛がってくれたわね~」
ディオーネは、オルトロスに向かって言った。
「ふんっ!たかが人間、ワシに敵う訳なかろうが!」
「私はハーフエルフよ。半分は人間だけど…あなたたち魔物に殺された獣人族唯一の生き残りよ!」
「お前も殺し全滅させてやる!」
「魔石を取り込んだぐらいで、私に敵う訳ないでしょ!私は地上最強の魔術師よ!精霊よ、我に力を!氷漬けになれ!!デスブリザード!!」
ディオーネの杖の先から、強力な吹雪の魔法を放った。
オルトロスも口から、強力な焔を吐き出す。
「瑠依!みんなを回復させたら全員を連れて、ここから少し離れてて!」
ディオーネは魔法を放ちながら、瑠依に指示を出す。
ディオーネは極寒の魔法を使いながら、次に繰り出す魔法の詠唱をしている。
「分かりました!」
瑠依は、杖の回復魔法でルシアンとケルベロスを回復させて、ディオーネから離れた。
ディオーネも徐々に、オルトロスから離れた。
「私は精霊の力で、魔法を同時に使う事が出来るのよ!怒りの雷に撃たれ、成仏するがいい!!喰らえっ!!メガスパーク!!」
巨大な雷がオルトロスの頭上に落ちた。
「ドカーン!!!」
大地が大きく揺れ、地面が割けた。
瑠依は、初めて見るディオーネの雷魔法の迫力に圧倒された。
(私の雷魔法とは桁違いの威力…)
するとオルトロスの焔が止んだ。
オルトロスは、立ったまま失神している。
オルトロスは、ディオーネが同時に放っていた極寒魔法により全身を包まれて凍ってしまった。
ディオーネは、ケルベロスの側に行く。
「ケルベロス、オルトロスはあなたの兄弟よね?このまま殺してもいい?」
ディオーネは、ケルベロスに優しく言った。
「魔石を取り込んだ以上仕方ない…これもこやつの運命じゃろうて…」
ケルベロスは変わり果てたオルトロスを見ながら言った。
それを聞いたディオーネは
「ルシアン様、剣をお借りしますね」
と言いながら、ルシアンの腰に着けていたスレイヤーソードを抜きとる。
「あっ?ああっ…」
ルシアンも、ディオーネの雷魔法の迫力に圧倒され呆けていた。
ディオーネは、オルトロスの前に行った。
スレイヤーソードでオルトロスを軽く斬ると、バラバラとオルトロスの体が崩れていく。
オルトロスの体の破片の中に魔石があった。
ディオーネは、魔石を拾い上げ握り締めた。
「ついに魔石が2個揃ったわ。これで邪神と対等に戦う事が出来る……唯、絶対仇を取るわ…」
ディオーネはそう呟きながら、魔石を握った拳を見つめていた。




