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第7話 悪しき魔獣と優しき魔獣

 クウは、上空からヒューストンを追っていた。


 ヒューストンは、魔石を握りしめ走っている。

「よし!よし!よし!これをバーデン様に渡せば大金が手に入るぞ!」

 走っていたヒューストンの前に1体の魔物が現れる。


「うわっ!ケルベロス!」

 ヒューストンはそう叫ぶとその魔物は、一瞬でヒューストンを頭から呑み込んだ。

「この人間、カスみたいな魔力だな…しかし、この魔石の魔力は凄まじい…ロキ様に魔石を渡すなら、このまま自分で…」

 魔物は、ヒューストンが落とした魔石を飲み込みどこかに消え去った。

 それを見ていたクウは、瑠依達の元に引き返した。


 ルシアン達は、ケルベロスが先頭になりクウを追っていた。

 そのクウが上空から戻って来た。

(あっ!クウだわ、どうしたんだろ?)

「クウが戻ってきたわ。一旦止まって!」

 瑠依が全員に言った。


 クウはケルベロスの前に降りて来ると、ギャーギャーと鳴き必死に何かを伝えようとしている。

「ケルベロス、クウは何て言ってるの?」

 瑠依はケルベロスに聞いた。


「まずいことになった…魔石を魔物に奪われたようじゃ…」


「魔石は魔物を呼び寄せるだけじゃなくて、魔物が魔石を体内に取り込んだら、魔石の力で魔物が進化してしまうのよ…だから、魔術師は魔石を封印したの」

 エクシリアが瑠依達に教えた。


「それなら、あの大蛇は何で魔石を呑み込まなかったの?」

 勇治がエクシリアに尋ねた。


「そこまでの知能が無かっただけじゃないのかしら?」


「強大な魔物の力を感じる!どうやら魔石を取り込んだようじゃ!」

 ケルベロスはそう言うと、クウが飛んで来た方向に走った。


「瑠依!ワイバーンを巨大化して乗って行くわよ!」

 絵里はクウを巨大化させた。


「わかったよ!あと誰が…」

(あと誰を連れて行こうかな…)

 瑠依は迷った。


「私が行こう」

 ルシアンが言った。


「ルシアン様、私の後ろに乗って下さい」

 瑠依がそう言うと、ルシアンはクウの背中に乗った。

「エクシリアさんと勇治とゴーレムは追ってきて!クウ!行くよ!」

 クウは上空に羽ばたいた。


「ルシアン様、私にしっかりと掴まって下さいね!」

 瑠依は、ケルベロスの姿を追っていた。

「どこを掴めばいいのだ?」


「どこでもいいですから…あっ!胸以外で」

 瑠依は言い替えた。

 ルシアンは、少し照れたように瑠依に掴まった。


「ケルベロスがいたわ!クウ、降りて!」

 ケルベロスが魔物と対峙している。

「えっ?もう一匹ケルベロスがいる?」

 瑠依はクウの背中から降りた後、ケルベロスと対峙している魔物を見て言った。


「あれは魔獣オルトロスじゃ」

 ケルベロスは瑠依に教えた。


「オルトロスよ…何故、この世界に来たのじゃ?」


「邪神ロキ様に転移させられてな。ロキ様に魔石を奪って来いと命じられたが、気が変わったわ…」

 オルトロスは、徐々に姿も変わっていった。

「この魔石の力があれば、ロキ様に負ける訳がない。従う必要もない」

 ケルベロスの倍の大きさに進化した。

「のう兄弟…いつか滅ぶか分からない人間達につかないで、ワシと一緒にこの世界を支配しようではないか!」


 ケルベロスはそう言われ、瑠依の顔を見た。

「ケルベロス…」

 瑠依は不安な表情を浮かべていた。


「ワシは唯と約束したのじゃ、この子らを助けてやると……それにこの子らと一緒にいるのも悪くないぞ…」

 ケルベロスはオルトロスに言った。

 それを聞いて瑠依は

「あんたと一緒に行く訳ないじゃない!ケルベロスは仲間であり家族なんだから!!」

 と、オルトロスに威勢よく啖呵を切った。


「そうか…ならば、ここで死ね!」

 オルトロスが、ケルベロスに襲いかかった。

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