第1話 家族
「ねぇ、たけにぃはお姉ちゃんの事好きなの?」
桜井唯の幼なじみである伊東武に声をかけたのは、桜井瑠依 高校2年生 唯の妹である。可愛い顔をした美少女で、姉と同じくらいの巨乳。だが、残念な事に少し口が悪い。
桜井瑠依は、頭脳明晰で高校の部活で弓道部に入部しており、県大会準優勝の腕前を持つ。
「もちろん好きに決まってるじゃん」
横から口を挟んできたのは、桜井勇治 中学2年生 瑠依の弟である。中肉中背で、身長は瑠依よりも低い。今流行りの異世界ものアニメや漫画、ゲームが大好きな今時の少年。
巨乳好きで、いつも唯の胸の谷間を見ている。
「ちょっと! みんなのいる所で聞かないでよ!」
顔を赤らめて大声を出したのは、この桜井家の長女 桜井唯である。高校3年生の心優しき美少女。ちなみに母親に似てこれまた巨乳。
幼なじみの武とは、幼稚園からの付き合いであった。
ここは桜井家の自宅。
唯の幼なじみ 伊東武がたまに訪れては、居間で唯と高校の勉強をしている。
今日も唯と武は勉強に疲れて一息入れてる時に、いきなり聞かれたようである。
武は少し照れた顔で「…内緒」と唯の方を向きながら話した。
瑠依は「誰に向かって言ってるの?」と少し意地悪そうに言った。
瑠依と勇治は武の事を慕っており、武の事をたけにぃと呼んでいた。
「唯ねぇは、もちろんたけにぃの事が好きなんだよね?」
ニヤニヤしながら、勇治が言った。
唯はいきなり振られて驚いた表情を見せ、首まで真っ赤にしている。
「幼なじみなんて憧れるなぁ」
瑠依は武を見ながら、うっとりしている。
「そんな男みたいな性格なら、幼なじみも逃げんじゃん!」
勇治はニタニタしている。
「ほんとあんたは失礼ねっ!」
瑠依が勇治にキレた。
「いつもお姉ちゃんの胸ばっかり見てるあんたに言われたくないわよ!!」
瑠依に言われて、勇治は顔が真っ赤になった。
「いつも胸に視線感じてたよ…」
唯は苦笑いしながら自分の胸を見ている。
台所の奥から「あなた達、勉強の邪魔をしたら駄目でしょ!」と叱ったのは、姉弟達の母親 桜井絵里 43才 これまた美女で巨乳である。
ちょっと抜けている所もあるが、いざと言う時は頼りになるお母さん。
「結婚は、まだ認めないぞ!」
夕刊を読みながら横から言い出したのは、姉弟達の父であり、絵里の夫でもある桜井健一 45才 ガタイのいい、角刈りの男である。
仕事は、警察官をしている。
性格は見たまんま熱血漢。
「お父さん、やめてぇ~」
唯は顔を真っ赤にしながら叫んだ。
勉強も終わり、武は家に帰ろうとしていた。
瑠依は「たけにぃ、晩ごはん一緒に食べようよ」と声をかけるも
「今日は家で食べるって、母さんに言ってきたからな~」
武は靴を履きながら答えた。
「ざ~んねん…」
ほんとに残念そうである。
「ごめんなぁ~、今度は一緒に食べるよ!」
瑠依に笑顔で答えた。
「お母さん、途中までたけるを送って行くね!?」
唯は絵里の顔を覗き込む様に言った。
「車には気をつけるんだよ」
絵里は晩ごはんの支度で、忙しそうである。
「お邪魔しましたー!」
外は桜舞う季節。
桜が夕日に照らされて、幻想的な色合いをしている。
武の家は歩いて15分程度の所にある。
特に送って行く距離でもないが、唯は武と一緒に歩きたかった。
唯と武が一緒に歩道を歩いていると、子犬2匹がじゃれあって、歩道を走っている。
「ちょー可愛いんだけど~」
唯が武に言う。
「捨て犬なのかな?」
犬達はじゃれあいながら、車道に飛び出した。
トラックが手前に迫っている。
「あっ!!危ない!!」
唯は叫ぶとともに犬達の元に駆け寄った。
ドン!!
唯は誰かが覆い被さるように守ってくれた事を感じた。
薄れ行く意識の中で、血だらけで道路に倒れている武の姿を薄目で見るも、徐々に意識が遠のいていった。