第1話
初投稿です。よろしくお願いします!
俺は極めて普通の男子高校生だと思う。
特にモテる訳でもなく、頭がいい訳でもなく、運動が出来るという訳でもない。そんな普通の高校生。
今日も普通に学校生活を過ごし帰りの会が始まるまで仲のいい幼馴染達と固まり会話をしている途中でトイレに行きたくなりトイレに行った。ここまではいい。
ただ…
「…ここどこ?」
トイレの個室から出ると森の中だったのだ。
…いやいや、おかしくない?
学校のトイレから出たら森の中っておかしくない?
確かに個室で用を足している最中足元が突然光ったりしたけど、それ以外おかしな事は起きていない。……いや、それがおかしいのか?
そもそもトイレの個室の床が光るってなんだよ、いくら最近のトイレが進化してるといっても床が光る機能はいらないだろ。
などと、鬱蒼とした木々に囲まれた森の中で一人永遠と考えているが答えは出ないし大分混乱しているな……うん。
とりあえず周囲を見渡してみる、すごく背の高い木々に囲まれた広場のような場所の真ん中に俺はいる。ときおり甲高い鳥?の声が聞こえてきてちょっと怖い。
先程出てきたはずの個室は既になく、ただただ木が生えているだけ。つまり森のど真ん中に立っている状態だ。
「……………いや、いやいやいやいや!おかしいよね!?冷静になろうと思ったけど鼓動がさっきからめちゃくちゃ激しいし、足がガタガタ震えるし、絶対おかしいよね!?なんで学校のトイレから出たら森の中にいんの!?てか、なんでトイレはなくなってるの!?意味わかんないし超怖いんだけど!?え、なんで!?」
ついに我慢しきれずに感情が溢れ出してしまう、今自分が置かれている状況が非現実的すぎて軽くパニックだ。
大体なんでこんな森の中にいるんだよ、俺は―――
「ねえ」
突然後ろから声をかけられ思考が停止する。
「ねえってば」
「はい?―――」
咄嗟に返事を返しつつ後ろをふり向くがそこでまた停止する。
「あんた、ヒューマンよね?こんな森の中で騒いでたら魔物が寄ってくるでしょうが、それに見たことない格好してるけど貴族かなにか?」
彼女の言っている事も気になるがその姿に見入ってしまってうまく言葉が出てこない。
女優さんか?というくらい整った顔立ちに金髪碧眼で陶器のように白い肌。革っぽい生地の服の上からマントを羽織っていて、いかにも狩人という出で立ちをしている。手には短刀、背中には弓と矢筒を背負っていて非常に怖い。
しかし、そんなことは気にならなくなる程見てしまう。
彼女の耳を。
「……無視?」
ムッとした顔で俺に聞いてくる。
「あ、いや、すみません……あの、ちょっと混乱していて」
「そうみたいね、見たところなんの装備もしてないみたいだし…あんた、どっから来たの?」
「いや、来たっていうか気付いたらいたっていうか……あの、ちょっと聞いてもいいですか?」
「なに?」
うん、会話をしていてもあれが気になってしょうがない。初対面の人に聞くのは躊躇うけど聞かざるを得ない。
「あの…なんで耳がとがってるんですか?」
彼女は一瞬何を聞かれたのか分からないといった顔をした後
「なんでってエルフだからだけど?」
と、当然の様に返してきた。
うん、エルフね……あー、こういう展開見たことある。というか読んだことがある。
でもまだ認めない、いや認めたくない。
でも、確認しなくてはいけない、言うしかないのか…あのセリフを。
「…なるほど、ではもうひとつ質問してもいいですか?」
「なに?」
「ここは日本ですか?」
鼓動の音が大きくなる。
彼女の口から「なに当然の事いってるの?そんなことより今映画の撮影中よ!ここから出てって!」といったセリフが聞きたい。
しかし、そんな希望を打ち砕くように彼女の整った眉は曲がっていき、首もかしげていく。
そして―――
「ニホン?どこそこ」
高校2年生の夏。
私、清水明吉は異世界転生しました。