貴族の娘だからって甘くみていたら最下層の能力値でした
初めての長編小説に挑戦してみました!
暖かい目で読んで頂けると幸いです。
「……こんなに能力値の低い貴族の娘はみたことがない......」
神官や家族の顔がとても凍りついていた。
この世界に生きる者は皆、15歳という一つの節目を迎えると神官から能力値と才能を言い渡される。
能力値が高ければ高いほど戦闘で役に立ち、活躍することができる。
戦闘で活躍できれば人々から賞賛の声が、王からは数え切れない程の恩賞が褒美に貰える。
才能で人が評価されることは無かった。
人々は能力で人の価値を決め、能力値が全てだという風潮を作り出していった。
それが正しいことであるのは定かではない。
だがそれは実力のある者が初めて口にできる言葉であり、実力のない者が口にしても世間はただの戯言としか捉えない。
能力値がこの世界の全てか、否か。
そもそもこの疑問すら抱く者はまだこの時点では存在しなかった。なぜなら能力値で人の価値を決めるのが簡単かつシンプルであるからだ。
どんなに才能が恵まれていようと能力値が低いと戦力外として見なされてしまう。
また、才能を一人一人言い渡すことは極めて難しく効率が悪いため神官は能力値のみを言い渡し、この世界で才能は存在しないもののように扱われてしまっていた。
「娘は、平民レベルの能力値なのでしょうか......?」
王国屈指の戦闘力を誇る私の父が青ざめた顔で神官に聞いた。
「いや、彼女の能力値は最下層に位置すると捉えていいだろう。」
「そんな......ことがあり得るのでしょうか......」
通常、貴族の家柄であれば最低限の能力値は保障されどんなに低くても平民の能力値を下回ることはほとんどありえない。
まして、王国の即戦力とも言える大貴族の家柄であればそのようなことが起きるのは不可能だ。
だが事実は事実。私の能力値が最下層であるという事実は消えない。
これは家の恥でありこの事実が広まると家の地位が危うくなるのは時間の問題だろう。
「......ということは、学院で寮生活を送りながら能力値を上げていくしかないだろうな。 しかしこの状態から能力値を上げていくのは不可能に近い。」
心配性の母は神官の言葉を聞き難色を示す。
きっと私が寮生活をすることができるのか心配してくれているのだろう。
能力値が低くとも、私を大切にしてくれる親に感謝しなければならない。
神官は学院で私の能力値を上げることが困難だと考えているがそれしか方法がないのだから学院へ通うしかないだろう。
基本的に学院は圧倒的に能力値が低い者のためにあるものではなく中間層から上位層のさらなる能力の向上のために作られた場である。
学院は家柄や身分に左右されない実力主義であるため私のような能力値の低い者が好待遇が受けられないのは明白。
まともな学院生活が送れない可能性も十分にある。
能力値が低い者は通りたいとは思わない道。
だがこれまで大切に育ててくれた両親に迷惑をかけるのは申し訳ないので学院へ通うことを神官に伝えた。
今まで大切に育てられた娘にとってはとても屈辱的なことが毎日のようにあるかもしれない。とても貴族の娘が精神的に傷を負って無事では済まされないと、神官は言った。
皮肉ではなく親切に忠告してくれたのかもしれない。
だが、上手くやっていけるはずだ。
なぜなら。
私は自身の才能を知っているからだ。
家が所有している図書館でたまたま目に留まった一冊の本を挿絵が綺麗だったからだという理由で読んだことがある。
そこには才能について詳しく書かれていた。
最初は何を意味しているのかすらも理解できなかったが長い歳月を得て才能を理解する事ができた。
才能は能力値を高くする上で必要不可欠である。
これが私の出した結論である。
才能は能力値と表裏一体でありとても関係性が深い。才能を知ることは困難であるが私が見つけた一冊には全ての才能の特徴がかかれていた。
この本を読めさえすれば誰でも才能を知ることができるはずなのになぜ神官が才能を見極めることができないのか不思議で仕方がない。
私の才能はとても珍しくある一点に特筆している諸刃の剣。
誰にも知られてはならない。
誰にも悟られてはいけない。
そんな気持ちの焦りと共に私の学院生活が始まった。




